51話 ページ4
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「若葉さん、父兄の方からスイカをいただいたので切り分けるそうです！」
『そう、ありがとう仁花ちゃん』
「シャチッ！」
唯一若葉と話せるのが谷地だった。
朝、起こされた時、若葉はとりあえず谷地に起こしてくれてありがとうと礼を述べ、ユラユラと動きながら準備していた。
危なかっしい様子の若葉を見た谷地は、その持ち前の性格からか放っておけずに、ビクビクと肩を震わせながら手伝ったりしたのだ。
若葉もわかっていた。
自分が機嫌が悪いことも、悪い時に目が細くなることもそのせいで恐怖心を与えてしまうこと。
それでも声をかけてくれる谷地に対し、他の人に比べて幾分か優しい対応だった。
谷地に連れられて調理室へと足を運び、マネージャー全員でスイカを切り分ける。
大きくて皮が固いスイカは刃が入ればスルリと切れるのだが、そこが難しい。
苦戦するとマネージャー達の一方で、若葉は躊躇なく刃を入れて切り分けていく。
「若葉ちゃん、すご〜。私のも切ってよ〜」
のほほんとした声色で若葉に話しかける白福に若葉は頷いた。
怖いもの知らずなのか、空気が読めないのか、マイペースなのかわからないが、こういう人の方が今の若葉に話しかけやすいのかもしれない。
「森然高校の父兄の方からスイカの差し入れでーす！」
皿に盛りつけたスイカを持って体育館へと運び、汚さないように外でのちょっとした休憩となった。
若葉はゴミ袋を用意し、日陰に腰を下ろした。
ピリピリとしている若葉の元に、気まずい顔をした影山が近づいていく。
「あの、若葉さん」
『なに』
冷たい声色。
ビクリと震え、一瞬で落ち着かせる。
「若葉さんがなかなか起きないからどうしたらいいか聞かれて、俺が、教えたんですけど……いい起こし方ではなかったなと思います……その、スミマセンッッ！！」
ガバッッと直角に頭を下げる影山に、若葉ははあ、と息を吐いた。
その態度に、また影山の体が震える。
『…昔さ、なかなか起きない私を起こそうとした兄さんが、私の部屋で、起きるまでバレーボールの本の読み聞かせをしたことがある。あの抑揚もない声で念仏かよって思うくらい低い声でバレーボールが何たるかを唱えられながら起こされて以来、兄さんで起こされるのがトラウマなんだ』
その話を聞いて影山も顔が強ばった。
トラウマだったとは……
それは、ご愁傷さまとしか言えない。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
