77話 ページ30
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「す、す、好きな方は、い、いらっしゃいますでしょうか!?!?」
好きな、方……?
若葉は宇宙猫状態になった。
思考回路が爆発した。これ以上考えられなくなり、背に宇宙を背負うなんとも呆けた状態になってしまった。
さっきからこのことを言っていたのか。なるほど。
だから会話が成り立たないわけだ。
若葉としては投げられたボールをきちんと投げ返していたのだが、前ではなく後ろに投げてしまっていたということであろう。
『好きな人、ですよね。私は…』
ゴクリ、唾を飲み込む。
緊迫した空気を読めていないのか、軽い声で若葉は言った。
『ニコラス・ロメロです。スターですもん。逆に好きじゃない人なんているんですか。あの仕上がった筋肉と胸を打たれるようなスパイク。あぁ、なんて素晴らしいんだ。ぜひ一度会ってみたい』
白福はぶは、と笑いだした。
雀田と清水は顔を見合せて、目を瞬かせ、谷地はロメロが誰かわかっていない様子だった。
そんな谷地に若葉はポケットからスマホを取りだし、写真を見せてあげる。
『この人がロメロ。すごいパワープレーでね、私が男に生まれてたなら戦ってみたかったよ』
「ヒェッ、凄くガタイのいいお方ですね…」
『でしょ?兄さんも私も好きなんだ。好きって言うよりかは憧れって言うのかな』
「憧れ…あれ、先輩方が言っていたのは恋愛の方だと思うんですけど……」
『あ、そうなの?えぇ、恋愛?うーーん…』
後輩は可愛がる若葉とそんな若葉が大好きな谷地はとても仲が良い。
谷地のストレートな物言いに先輩たちはサムズアップした。
顎に手を当て、目を閉じて考える若葉。
その時点で好きな人はいないとわかるのだが、若葉は質問には相手が納得する返事をしなければいけないという使命にいつも駆られている。
あ、と目を開けた若葉に谷地はどうですか?と首を傾げた。
『恋愛って、つい目で追いかけて、いつもその人のことを考えてしまうことだったよね。
その条件に当てはまるのは今のところリエーフかな』
条件。
白福たちはその言葉に少し呆れたがちょっと待てよ、リエーフだって?
リエーフと言えば、音駒の190cmの高身長で、ロシア人とのハーフで、イケメンで、スパイカーの、あの一年?
意外な人物が出てきて白福たちはその言葉に飛びついた。
「なんでか聞いてもいい!?」
『リエーフはまだレシーブ下手くそなんですよ。レシーブ練はすぐサボるし、いつの間にか迷子になったりするし。気をつけてるんですよ』
若葉に恋バナはまだ早いと悟った白福達であった。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます!ぜひ追ってください…!あれ51話が2つありますね??修正します!教えて下さりサンキューです! (2月28日 15時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます!!!!ずっと追わせていただきます!!!…51話が2つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます!ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね!楽しみにしていて下さい!! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません!ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます! (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2024年2月26日 14時