75話 ページ28
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残る試合は生川と森然だけだったので、他のマネージャーは外で昼食であるBBQの準備をしていた。
話しながら野菜を切ったり、おにぎりを作ったり。
玉ねぎが目にしみると涙目になる先輩を見ながら、若葉は目の前の人参を刻む。
「ちょっっと待って!?若葉ちゃん、手危ないよ!!」
雀田が焦った声をあげたので、ピタリと手を止めた。
何が危ないのかと視線を落とす。
人参に添えた右手に包丁持った左手。
まな板は体の正面。
どこ見ても危ないところが無く、若葉は顔を上げて雀田を見て首を傾げた。
「支えてる手!普通に人参握ってたら切っちゃうでしょ!?」
『いつもこれですが』
「猫の手!包丁で切る時、支える方は猫の手!」
そう言って左拳を突きつけてくる雀田に目をぱちぱちと瞬かせながら頷いた。
人参を握っていた右手を拳にして抑えて切る。
『おぉ、安全』
「…それは良かった」
疲れたような顔をして笑う雀田の肩に白福がポン、と手を置いた。
安全な切り方を教わったというのに、ピーマンを切り始めるとまた戻っていたため、若葉はおにぎり作りへと回された。
「若葉ちゃんは一人暮らしなの?」
清水が手に水をつけながらそう言った。
握ったおにぎりに海苔を巻いていた若葉はチラリと視線を向けた。
『叔母の家に住まわせてもらってます。一人暮らしは親も自分も不安なので』
「そうなんだね。若葉ちゃん、しっかりしてるから一人暮らしなのかなって思ってた」
「私も!思ってました!」
ぎゅ、と白米を両手で握っている谷地が首を縦にしてこくこくと頷く。
若葉は首を横に振った。
『そう見えていたのなら良かったです。私、整理整頓とか嫌いなんですよ』
「あんなに丁寧なのに?」
『慣れただけです。兄が整理整頓できるので、負けてたまるかと必死でした』
谷地が握ったおにぎりを若葉に手渡し、若葉はそれに海苔を巻く。
海苔を巻き終えたおにぎり達は大皿に乗せられていく。
今のところ3皿できたが、男子の食欲はえげつないため、もう少し作らなければならない。
すると、野菜を切り終えた白福がおにぎりの様子を見に来た。
ひとつつまみ食いをする白福の頭を雀田が叩く。
そんな白福はおにぎりを食べ終え、若葉に視線を向けた。
「そういえば、若葉ちゃんとはお風呂も寝る時間もズレてたから話せなかったんだけど〜」
何だろう、と首を傾げる。
清水と雀田がニヤリと笑い、谷地が慌て始めた。
嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます!ぜひ追ってください…!あれ51話が2つありますね??修正します!教えて下さりサンキューです! (2月28日 15時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます!!!!ずっと追わせていただきます!!!…51話が2つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます!ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね!楽しみにしていて下さい!! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません!ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます! (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2024年2月26日 14時