73話 ページ26
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「……翔陽は、いつも新しいね」
横で同じように烏野を見ていた孤爪がふと呟いた。
そんな孤爪に少し間をあけて黒尾が言った。
「…もしチビちゃんが音駒にいたら、お前ももう少しヤル気出すのかね」
「翔陽と一緒のチームはムリ」
「?なんで」
「常に新しくなっていかなくちゃ、翔陽にはついていけなくなる。おれがどんなに上手にサボっても多分翔陽にはバレる」
その言葉に若葉は確かにと納得した。
孤爪はチラリと若葉を見たあと、口を開いた。
何故こちらを見たのかはわからない。
「…あの天才セッターでさえ、一瞬立ち止まっただけで見抜かれた。そんなの疲れるじゃん」
……それは遠回しに若葉にも言っているように聞こえる。
だから、チラリとこちらを見たのかと。
言ってもいいかな、まあいいかと判断するため。
「ふーん?じゃあチビちゃんが"敵として"練習相手に居てくれたら、お前もヤル気出すのにな?」
「?なんで??」
「だってお前、チビちゃんの試合見てる時、買ってきた新しいゲーム始める時みたいな顔してるよ?」
その時、タイムアウトが終わった。
若葉は幼馴染だという二人の会話を聞きながら手を出せば、ドリンクを手渡される。
コートに戻っていきながら「別にしてないし。ていうかソレどんな顔」「わくわく顔」「なにソレ意味わかんない。してないし」と仲睦まじく話していた。
確かに、孤爪が日向を見ている時はいつもと少し違う。
常に新しくなる。
それに合わせられるセッターは能力が高いと言えるだろう。
若葉は中学時代を思い出した。
左はもちろん、右でも打てるようになろうとセッターに頼み込んで練習して、最高打点もしょっちゅう変わり、大変ご迷惑をかけた。
日向と影山を見ていると思い出してしまう。
相棒だったあの子は今は違うエースにトスを上げているのだろう。悔しいような悲しいような不思議な気持ちだ。
その後、梟谷は木兎が調子を崩していたが、梟谷は木兎のワンマンチームではない。
個々の能力が高いため、梟谷自体は崩れやしない。
月島がドシャットした様子を黒尾が「おー、上出来」なんて言って余所見をしていたため、夜久に怒られていた。
そして烏野は梟谷があと一点取れば負ける。
イコール、烏野があと一点取ればデュースに持ち込めるのだが。
『京治は結構やり手ですよ〜』
若葉はニヤリと笑った。
頭の回転が良い彼は、そう簡単に攻略できない。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます!ぜひ追ってください…!あれ51話が2つありますね??修正します!教えて下さりサンキューです! (2月28日 15時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます!!!!ずっと追わせていただきます!!!…51話が2つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます!ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね!楽しみにしていて下さい!! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません!ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです! (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます! (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2024年2月26日 14時