十六話 きっと変えられる ページ18
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袖を引っ張られた。
何かと振り向いてみれば、黒髪を二つに結った女の子がそこには居た。
Aは少し微笑みながら、首を傾げる。
『どうした？迷子かな？』
「＿＿＿石川、A…」
目が合った。
それはそれは暗い瞳だった。
女の子は云った。
「一緒に来て」
『どこに？申し訳ないけど、私、引っ越しがあるから無理なんだよね』
「違う」
自分の日程を知りもしない女の子に否定され、こめかみにピキリと筋が浮かんだ。
違うって何なんだ。違わないだろう。
Aは頭を掻きむしり『わかったわかった。君と一緒に行こう』と女の子の肩をポンポンと叩いた。
『君、名前は？』
「私の名は鏡花。
好きなものは兎と豆腐、嫌いなものは犬と雷。
マフィアに拾われて35人殺した」
Aは目をぱちぱちと瞬かせる。
自己紹介しやがった、この子。
そして、聞き捨てならぬ言葉が聞こえた気がする。
マフィアに拾われた？こんなに小さな子が？
Aの手が無意識に動く。
その手は鏡花の頭をゆっくりと撫でた。
びくりと肩を震わせた鏡花にAはさらに手を動かした。
『もしかして、森さんからの命令？仕方ないなー。ついでだ、鏡花、食べたいのある？』
「え？」
まるで気にしないかのように。
聞いてなかったかのように。
何も云わないAに「なんで、何も云わないの」と呟いた。
Aは困ったように笑って、云う。
『君だけが殺しをした訳じゃない。たかが35人。私は、それ以上の人を苦しめたことがある。
それに、誰しも知られたくないことの一つや二つはあるだろう？』
空を仰いで遠い目をしたA。
その姿を見つめ、呆気にとられたように立ち尽くす鏡花に手を差し伸べた。
『私、弟がいるんだけどね。弟のおかげで変われたんだ。
だからきっと君も、
＿＿＿君を変えてくれる人が現れるよ』
何故かはわからない。が、少し泣きそうになる。
自分を変えてくれる人が現れる。
それは目の前にいる、Aのことじゃないのか？
『アイスを食べよう！冷たくて美味しんだ。ほら、行こう』
「＿＿＿ぅん」
差し伸べられる自分より少し大きな掌に、頷いて手を乗せた。
その時、少し笑みが零れていたことを彼女は知らない。
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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます！忙しくて放置していたら、もうすぐ１ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください！！ (7月2日 11時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください！ (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2023年3月8日 17時
