いいとこ見せたい ページ6
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『あれ、颯と三間さんじゃん』
トートバッグを肩にかけ、スマホを見ながらキョロキョロと当たりを見渡す。
ふと、知っている顔が見えた。
歩はにこにこしながら駆け寄る。
「歩」
「歩くん、お久しぶりですね」
『うん、二人とももしかして』
3人で話していると「颯さん!!三間さん!!歩!!」と声を掛けられた。
振り向けば、先程の歩のように駆け寄ってくる瞬の姿があった。
「来てくれてあざっす!」
「お誘いありがとう」
90度で頭を下げる瞬をツンツン、と突く。
『なーんで、颯と同い年のボクが呼び捨てされてるのさ』
口を尖らせる歩に瞬は頭を掻きながら
「歩ってなんか、年上に見えない」
パワーワードで歩をぶった。
ズーン、と縮こまる歩をよそに3人で会話していくという悲しい状況が起きている。
誰も慰めてくれないのね。
しばらくして、肩をトン、と叩かれる。
「歩、行くよ」
『はやてぇぇぇ』
涙ぐむ歩にゔっと声を詰まらせながらも、「瞬くんにとって歩は親しみやすいんじゃないかな?」とフォローというのか、なんなのか。
けれども、歩はぱあっと目を輝かせた。
その後に言った「多分」なんて言葉は聞こえていない。
『よし、行こう』
「歩くん、そっちじゃないです」
試合が始まった。
けれども、どこか瞬の調子が悪い。
取れそうなパスが取れなかったり、撃てそうなボールをパスしたり。
と、
「颯くん、三間さん、遅れてごめん。一度間違えたからもう同じことはしないと思う」
ようやく蒼真の登場である。
「(ポジティブだ)」
『ボクもいるよー!』
「あ、歩ちゃんも来てたんだ!」
『瞬が【いいとこ見せたいから】て呼んでくれた』
颯と三間は顔を見合わせた。
全く一緒の理由だからだ。
「おー、瞬かっこいいね」
「うん、でも少し調子悪いみたいで……」
そうなの?と少し驚いた。
「瞬!頑張れ!」
蒼真の声に気づいた瞬が顔を上げる。
そこで気づく。
蒼真の持つカメラのキャップが外し忘れられてることを。
「二見!」
瞬にボールがパスされる。
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早夜(プロフ) - ぽすとさん» ありがとうございます。亀更新だとは思いますが頑張ります! (2022年12月28日 12時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽすと - 文字の色とかフォントとか工夫しててとてもいいです!!お話も面白いし…。これからも頑張ってください! (2022年12月25日 22時) (レス) @page3 id: 8a2886ac53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2022年11月21日 7時