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私たちは木漏茶屋でゆっくりしていた。
いゃ、二人きりになる瞬間が欲しかった。
聞かなければいけない、今日こそは…!
「神里様、お話があります」
「おや、なんでしょうか」
「このまま私のことを神里家にずっと置くつもりですか?」
彼の笑顔が崩れた。
「あなたが私の事を好きになるまで…ですかね」
「……」
そんな事を言うとは思っていた。
この人は、私の事を愛しているのだ。
けど、何故私にそこまで執着するの?
私のような人間はいる。
私じゃなくてもいいのでは?
「あまり重く考えないでください。流石にあなたが本当に嫌なら神里家から送り出しますよ。私はそこまで鬼ではありません。…好きな人には幸せでいて欲しいですから」
神里様の顔が少しだけ、寂しそうだった。
なんだか、罪悪感が私の中で蠢いている。
仮に私が神里家から出たとしても、行く宛があるわけじゃない。
だからと言って、ただいるだけではタダ飯食べて、悠々自適な生活を送っているだけである。
それに、私は……
「神里様。私と一戦…戦いませんか」
「はい?」
「神里様が勝ったら私がなんでも言う事を聞きます。逆に私が勝ったら、神里様が私の言う事聞いてください」
神里様が真剣な顔をする。
あまり、張り詰めた空気は得意ではない。
「何故急にそのような提案を?」
「貴方は私をこのまま神里家に置きたい…あわよくば、私と結婚したい。そうお考えのはずです。私は……私には、神里家を出たいという考えがある……。この提案は悪くはないと思いますが。貴方にとっても、私にとっても。」
「私は言ったはずです。私は別にあなたを無理矢理神里家に置くつもりはありません」
こんな良い提案を渋るとは思わなかった。
彼は、無理矢理にでも私を神里家に置きたいものだと思っていた。
好きだからかな……。私を傷つけるようなことはしたくないって、感じに見える
「ただ、悪くはありません。あなたが決めたルールですから、無理矢理にはなりませんよね?合意の上ですよね?」
悪い顔をしている。
……私にも聞いてほしいお願いがある。
いゃ、お願いというようこれは……
「ではこの提案は乗ると言うことでよろしいですね?」
「はい」
「神里様が休みの日に勝負しましょう。……神の目の力は無しでお願いします」
「真剣勝負と言うことですね。ふふ、楽しみですね」
今回は、負けられない
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作者名:ふく | 作成日時:2022年10月14日 19時