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私に立ちはだかる壁。
どんな強さを持っていようが、私は越えなければいけない。
「皆様お待たせいたしました!桜雷武闘会決勝戦!碓氷選手対稲水選手の試合を始めます!」
大きな歓声が上がる。
相変わらず、相手はフードを被ったまま。
そんなに顔を知られたくないのだろうか?
もしや、何かの極悪人?
優勝賞品であるモラ目当てか?
……一応、本人が本当に拒否るなら私との婚約はしないで済むが…
もしも悪い奴だったら、ここで成敗してやらないと
「両者構えて!……始め!」
剣先がぶつかり合う。
やはり、只者ではない。
「……!」
強い信念を感じる。
この桜雷武闘会に命を賭けてるというのは、あながち間違えではないのだろう。
「なに……!」
幻影?
私は虚空を斬る。…後ろに気配を感じる。
私は身を交わし、その刃を避ける。
神の目を使う事は一応禁止されていないが、それは相手も神の目を持ってるという事が条件……
八重宮司様の力で今は雷の目になってる。
だが、私が使える元素は氷だ。
相手も神の目を持っている……
今は利き手の左じゃなくて、右を使っている。
この戦い、本当にまずいかもしれない。
だけど、私にも負けたくないって気持ちがある。
私は刀を左手に持ち替える。
神の目の力は、限界まで絶対使わない。これが偽りだとバレてしまう。
「……」
「っ…」
お互い、全く息が上がらない。
体力勝負になってきた。
「!」
また幻影。
力強く、右肩を叩かれる。
何者なんだ、本当に……!!
私は彼から距離を置く。
痛ッ……
「……」
「?!」
私はブチっと、腰に付いてる神の目を取る。
ゆっくり、自分の元素力を流し込んでいく。
氷に戻った。
「……本気出してあげるよ」
冷気が舞う。
相手が体勢を崩した。
「元素力を使っては駄目じゃ___!」
八重宮司様の声が聞こえる。
私の姿が戻っていく。
「彩葉?!」
祖父の声が聞こえる。
私は深呼吸をする。
「貴方の目的は何?モラ?それとも…婚約者の座?」
「……」
相手もかなり動揺しているようだ
「ハッ!私は!自分より強い人間しか興味はない!稲水よ、私を倒してみせよ!」
私は刀を彼へ向けた。
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作者名:ふく | 作成日時:2022年10月14日 19時