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それからと言うものの、彩葉はその剣術で勝ち進んで行った。
遂には準決勝まで来たのだ。
しかし、一旦昼休憩。
「い…碓氷」
「!八重宮司様…」
「流石と言うべきじゃな。」
神子からそう言われて、彩葉は頭を下げた。
「しかし…他にも中々に強い者がいるみたいじゃな」
「そうですね」
もう一つのリーグの方で勝ち上がっている強者がいる。
深くフードを被っていて、素顔が分からないが、体格的に男だと彼女は考えている。
(
彼の次の対戦相手は旅人である。
彼女はどちらが勝つのか、全く予想が出来てなかった。
「もしや、そやつが汝に立ちはだかる壁かもしれんな」
「そうだとしても…私は勝たなければいけません……」
「何故…お主はそこまで勝ちにこだわるのじゃ?」
神子から訊かれて、彩葉はハッとした。
自分は何故勝ちにこだわるのか。
誰とも婚約したくないから?
それは稲妻を出る彼女にとって、関係のない事だ。
自分の強さを刻みたい?
それは、とても彼女の武への志だろうか?
「稲妻での最後の思い出ですから……やっぱり、勝ったという思い出にしないじゃないですか……」
「……」
少し、濁ったような返答であった。
「すみません、私もお昼を食べないとなので…」
「あぁ、午後も応援しておる」
逃げるように、彩葉は去っていった。
(本当は、お主はここから去りたくないと思ってるのだろう……?)
神子は、悲しそうな彩葉の背中を見守った。
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彩葉は準決勝の相手に勝った。
それと同時に、もう一つのリーグの方でも稲水人が勝ったという知らせが入る。
「うぅ……惜しかったな、旅人……」
「凄い強かった。なんというか、強い…信念を感じた気がする……」
「お疲れ様です旅人さん」
「綾華…!」
試合を終えた旅人の元に、綾華がやって来る。
「やはり旅人さんでも勝てませんでしたか…」
「何か意味ありげだね……?」
「実は……」
旅人が綾華の口から聞いた事とは……?
休憩を挟んで、決勝が始まる。
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作者名:ふく | 作成日時:2022年10月14日 19時