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「なるほど」
沙羅さんは私の説明を理解してくれたようだった。
「この事は内密にしておく」と言ってくれた。
そんな彼女を見て、平蔵は何か思いついた様だった
この顔は、なんか嫌な予感がする
「良い事思いついた！」
「ちょっーと待って。平蔵の良い事った絶対やばいよね」
「全然！僕が一芝居打とうと思ってね」
やっぱり、良い事じゃなかった
「彩葉は稲妻を出たいんだろ？桜雷武闘会のクライマックスに、僕が現れる！永野勇と斉藤杏の罪を露わにし、そして彩葉は本当は大悪党の一家の娘だったという設定で……」
「阿呆らしい。私が許さないぞ」
「だって。このままじゃ、彩葉が斉藤家を継ぐ事になるじゃないか。好きな人と結婚出来なくていいのかい？」
好きな人……？
私に好きな人などいない。
でも、私が斉藤家の人間じゃなく、⬛︎⬛︎家の者だと発表すれば…もしかしたら稲妻から出られないかもしれない。
「平蔵。私を連行する様に見せかけて……私を稲妻から逃げさせて」
「……！彩葉！」
沙羅さんが声をあげる。
分かってる。
私の今までの名誉が全部無くなる行為だ。
でも、それで良いのだ。
失うものなんて、私にはない
「……分かった。私もその茶番に付き合おう。ただし、彩葉が稲妻から去った後に事実を広めさせてもらう」
「……！」
「まぁ、それだったら良いんじゃない？」
い、良いのだろうか……？
まぁ、既に稲妻を去っているのだから関係はないから良いのか……？
「分かりました。よろしくお願いします」
「……私は彩葉の味方だからな。いゃ、ほとんどの人間が君の事を想っている事を忘れないでくれ」
なんだろう、この感覚。前にもあった気がする
そうだ、八重宮司様に会った時だ。
これから彼女に頼み事があって、鳴神大社に行こうと思ったのだが……
なんか、心がモヤモヤする……
冷たい私に、関心をもつ人なんていないのに。
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作者名：ふく | 作成日時：2022年10月14日 19時
