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突然の事に動揺を隠し切れなかった結城だが、それでも観客席を見上げ、勇気ある青年に向け丁寧に言葉を紡いだ。
結城らしい真っ直ぐな言葉に笑顔で耳を傾けた青年は、諦めがついた様な、それでもどこかスッキリとした顔でもう一度笑い、愛おしそうに花束を一瞥した。
『いつまでも応援し続けるよ。
でも…君に相応しい素敵な
A、
彼の手を離れ落下した花束が、結城に渡る。
「……Merry Christmas」
そして場内は溢れんばかりの温かい拍手に包まれた。
試合中に降っていた雪で、地面にはうっすらと雪化粧が施されていた。
ホワイトクリスマスだ。
帰りの車内。
"凄かったですね。"
我々の視線の先には、赤い薔薇の花束だ。
クリスマスの雰囲気に乗せられ、きっとこの手の質問にはあまり慣れてないだろう彼女に我々は質問をぶつけた。
"プロポーズされたのは初めて?"
「当たり前です、人を何だと思ってるんですか……」
"歳下は恋愛対象外?"
「いや、別に……。」
予想は的中、何を聞かれるのかと分かりやすく彼女は身構え始めた。
何かと迷わない彼女の歯切れが途端に悪くなる。
"歳下はアリって事ですか?"
「私の方が年上だった場合ですよね?
うーん……好きになってくれたなら、年齢関係なくその人自身を見る、かな。」
"自分からは好きにならない?"
「うーん……何歳差かにもよるけど、その人の未来を考えたりしたら……うん。
足を引っ張りたくはないし。」
"慎重派なんですね"
「ぽんこつらしいので笑。でもきっと年齢とか色々関係なく……好きなら一緒に居たい、んだろうな。」
帰り道、いつもの信号に差し掛かる。
この信号を右に曲がれば、自宅はすぐそこだ。
「……彼女さん居たりします?」
"へ⁈ え、いや、絶賛募集中です。"
「あ、はい。」
"え、どうして?"
「いや、居たら申し訳ないので。
居ないなら案内しますよ。イタリアのXmas」
"Xmas?"
「イルミネーション」
そう言って車は左折した。
「イタリアのXmasは素晴らしいって伝えないと。って、本当はチームメイトに"行ってみたら?"って言われただけですけど笑。」
"ちなみに、結城選手彼氏は?"
「……居たらイルミネーション案内したりしないですよ笑。」
程なくして、視界は眩い無数の光に包まれる。
もう一度言おう。
今夜はホワイトクリスマスだ。
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#M(プロフ) - 初めまして。楽しく拝見させていただいてます。是非、2以降のパスワードを教えていただけると嬉しいです。よろしくお願い致します。 (4月29日 19時) (レス) id: f9e2a1b66a (このIDを非表示/違反報告)
リエ(プロフ) - はじめまして。楽しく素敵な作品で一気読みしました。続きが気になるので、よろしければパスワードを教えていただきたいです。 (4月6日 7時) (レス) @page50 id: 3e6db03f03 (このIDを非表示/違反報告)
ろん(プロフ) - 初めまして。とても惹かれる作品で一気読みしてしまいました!!!もし可能でしたら、続きのパスワードを教えていただきたく思います!お待ちしております。 (3月24日 23時) (レス) id: 4ab3d6e2fc (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品で楽しく読まていただいております。続きが気になるのでよろしければ、パスワードを教えていただきたいです!よろしくお願いいたします。 (1月14日 13時) (レス) id: 0f292486a4 (このIDを非表示/違反報告)
flover(プロフ) - 初めまして。とても楽しく作品を読ませていただいております。何度か読み返しており、続きが気になりました。もし宜しければ、パスワードをお教えいただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。 (1月3日 19時) (レス) id: aeaa3e44b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2019年10月27日 16時