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目を開けると少女は頬を更に真っ赤にして、ほんとにするなんてと、恥ずかしそうに顔を背けた
「信じてくれましたか?」
「信じる。信じる」
両手で顔を覆って、指先からチラチラと僕を見る。
その姿にある意味拍子抜けして、少し肩の力が抜けた
「本当にアタシのこと好きになっちゃったんだね。嬉しいなあ」
とにかくこれで今すぐに殺されるという事は避けられそうだ。
この顔に産まれて良かったと改めて感謝した
「てことは今から、かっぷるってことだよね?」
「貴方がいいなら、僕は嬉しいです」
「じゃあ殺しちゃだめだね。」
少女は僕の手を掴んだ
「私の枢木Aっていうの。名前で呼んで欲しいな」
「Aさん。僕は安室透です」
「とーるかあ。なんか響きいいね。とーるとーる」
何度も僕の名前を呼ぶ
可愛らしい様子だが、忘れてはいけない。この子は殺人鬼だ
Aは僕の名前を何度か呼んだあと、思い出したかのように辺りをキョロキョロしだした。
そして、ボストンバックに駆け寄りそれを僕に渡した
「とーるの仕事はこれで終わりだよね?これ持って帰ったら今日はもう家に帰れるの?」
「ええ、まぁ、はい」
当初とはだいぶ違った方向に事が進んだが、目的の品は手に入った。それに、このままジンの元へ戻ったら彼はどんな表情をするだろうか。ジンは初めから、取り引き相手も僕らも殺すつもりだったんだから
ふつふつと怒りが生まれる。まさか、まだボクのことをノックだと疑っているのか
「Aさんは、これから他に何かありますか?」
「ないよ!あってもなくす!」
「あはは、そうですか…」
それにしてもこれからどうしよう。互いに思いは実った(?)のはいいとして、
「とーる。かっぷるだし、一緒に住んでもいいよね」
「え?」
「なに?嫌なの?」
「いえ、そんなことは」
嫌に決まっているだろう。殺人鬼と同じ屋根の下。常に気を張っていないといけない。…いやまて、これは好都合なのでは?一緒にいればいるほど彼女の隙も見つけやすくなるのではないだろうか
「行きましょう。Aさん」
「どこに?」
彼女の手を掴む
「僕たちの家に」
そう言うと彼女からキュンっと効果音がなった気がした
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作者名:ミノル | 作成日時:2023年5月17日 2時