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「呆気ないねぇ」
少女は辺りの一面を一瞥して言う
「君1人になっちゃったね」
少女は拳銃を僕に向けた。カチャリとセーフティを下げる
まだ、死ねない。
やらなければならない事がまだ沢山ある。これまで死んでしまった仲間達の無念を晴らすためにはまだ死ねない。それに、あの人を見つけるまでは
「…貴方に惚れました!」
咄嗟に出た言葉。おい、相手は殺人鬼で、しかもまだ子供だぞ、と思うが言い出した手前もう引けない
「んーと、死にたくないから、気を引こうとしてるのはバレバレだよ」
「嘘じゃないです!」
「じゃあ、どこに惚れたの?」
「その、強いところや綺麗な金髪に惚れました」
でまかせにも程があると思ったが以外にも少女はぽっと頬を赤く染めた。
案外、いけそうか?ハニートラップはこれまで何度も行っていたがこれほど様にならないことはあっただろうか
「へー、そうなんだ。ふーん」
少女は強いところかあ、金髪綺麗なんだあと呟く
「ほんとに?ほんとにアタシのこと好きなの?」
「はい。本当に惚れてしまいました」
「嘘じゃない?」
「嘘ではありません」
「それじゃあ、もし嘘だったらどうする?」
少女は赤らめた頬を両手で隠しチラチラとこちらを見る。その仕草はまるで、普通の年相応な少女のようだった
「この命、貴方に差し上げます」
いくら殺人鬼とはいえ彼女はまだ少女だ。隙を見て身柄を拘束しよう
「うーん、でも信じられないよー」
少女は赤らめた顔で僕を見る。
「困ったな。どうしたら信じて貰えるのでしょう」
「えー、じゃあ、じゃあ、」
________キス、して
と小声で呟いた
僕は彼女の要望に答えるように距離を詰め顎を優しく掴んでクイッと少し上げる。赤い瞳と目が合った。よく見なくても分かる。非常に整った顔立ちだ。頬を赤らめ目を細くするその姿は、こんな状況で例え殺人鬼だとしても、こう、クるものがある
そして、目を閉じてゆっくりと唇を重ねた
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作者名:ミノル | 作成日時:2023年5月17日 2時