さぁ…みんなで…〝コロシアイ〟しましょう？ ―第一章― (ページ47)

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〃　ページ47

あぁ、この感覚はいつぶりだろうか。

破壊、損壊。
銃弾は、狙い通りに硝子を突き破り内奥まで、侵入した。
すると小さな爆発音と共に、鉄屑がぱらぱらと空から降ってきた。

綺麗だ、と心底思った。きらきらと光るその鉄屑が。砂粒のように小さい。
思わず、見惚れた。

「や、まと……ちゃ、ん」

ひよくんが弱弱しく私の名を呼んだ。
彼の声で我に返りぱっと後ろを向いて彼に焦点を合わせる。「ん？なんだい？」そしてにっこりと笑った。

「大和ちゃん……大和ちゃん……怖いよ、怖い」
「あぁ……マフィア幹部みたいになってた？」
「う、ん……」
「ごめんね、酷い哀を感じたから、つい、ね」

手慣れた様子でショルダーホルスターに銃を戻す。定位置の場所に戻り、やっと興奮が収まった。
どくどくと先ほどまで激流のように流れていた血液だったが段々と収まる。

ひよくんが考え込む様に暫く黙り込んだ後、口を開いた。

「……大和ちゃんって……白雪姫と一緒だね」
「どうして？」くわ、と欠伸を零す。
「だって……だって、もし仮に大和ちゃんの言う通りだったら白雪姫は死に急いでいるようなものじゃない。
大和ちゃんもおんなじ。死に急いでる。
それに、大和ちゃんの相手が老人だろうと警察だろうと関係なく出し抜く知能。大和ちゃんは、いっつも3か月先未来のことまで考えてるよ」

彼の目が物語っている。「死に急がないでくれ」と。
伏せられたひよくんの瞳からは酷く哀を感じた。

嗚呼、どうにも私はこの雰囲気に弱い。
周囲に哀が漂い始めたので、私はどうにかしようと話題性を変えた。

「そういやァ、私さいっつもマフィア幹部みたいだって言われているからもう自分でも軽い錯覚が起きちゃってるよ。……警察にも云われたしね。「君は、絶対に裏には回るなよ。敵にしたくない人種だ。君を出し抜くのは、100年かかっても出来なさそうだ」ってね。
全く、参っちゃうねェ。そんな物騒なことを云わないでくれって」

ほんと、嫌になっちゃう。
そう小さく呟けばひよくんがふんわりと愛らしい笑みを浮かべた。そして私の手をぎゅっと握る。

「大丈夫！僕がいる限り、もし大和ちゃんが実際にマフィア幹部になろうと闇に潜ろうと僕が引っ張り戻してあげる！」

にこにこと天使のような笑みを云う彼。先ほどまでの哀を纏ってはいない。

……あぁ、やっぱり、君にはその瞳(笑顔)が似合うよ。

私は照れ隠しするように彼の頭を乱暴に撫でた。