さぁ…みんなで…〝コロシアイ〟しましょう？ ―第一章― (ページ20)

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意外なあの子　天音ひよページ20

(これからどうしよう…。)

僕は今、途方に暮れていた。
大切な幼馴染であり一歳年上の大和ちゃんに会って話をした後、僕は大和ちゃんが本を読んでるのを眺めている。

やることをないし、周りには誰もいないし…。
人の気配がないことに不安を覚えたが、なぜか大和ちゃんと二人でいられることに嬉しいと思ってしまっている自分がいる。なんだろうか、この気持ちは。

大和ちゃんの友人だった和泉さんに聞いても、この気持ちの正体は分からなかった。病気なのかと心配していたが、兄ちゃんに聞いても笑って「大丈夫だ」と言われたし…。

(兄ちゃん…僕がいなくて心配してるかな。)

病気で入院している兄ちゃんのことだけが気がかりだ。兄ちゃんを助けるためにこのゲームに参加したけど、まさか大和ちゃんがいるとは思わなかった…。

「ね、ねぇ大和ちゃん。ここでジっとしてても何も起こらない気がするからこの館を詳しく見ていかない？もしかしたらほかに誰かいるかもしれないし！」

「ああ、そうだね。じゃあどこに行こうか？」

そう言い大和ちゃんは僕に笑顔を見せてくる。その笑顔を見ると、心がキュッとしてしまう。…本当になんなのだろう、この気持ちは。

とりあえず二人で部屋を出て、トコトコと歩く。するとすぐ隣にある部屋に入ると、そこには日本刀があった。僕の家にあった物とよく似ている。

とりあえず武器はこれにしようと思い手に取ると、大和ちゃんがこう言って来た。

「ひよくん、日本刀なんて大丈夫かい？持つには重いからね。」

「う、うん、たぶん大丈夫…。これは家にあったし、何回か兄ちゃんに教えてもらったことあるから…。」

少し不安そうな自分の声に我ながら頼りないなと苦笑いしかない。そもそも、僕は大和ちゃんを守ろうと思って日本刀を手に取ったのだが、大和ちゃんのほうが僕よりも頼もしいという事実に打ちひしがれるしかない。

そんな想いを抱きながら僕と大和ちゃんはその部屋を去った。