さぁ…みんなで…〝コロシアイ〟しましょう？ー第二章ー (ページ7)

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自己紹介　諏訪部大和ページ7

一つの足音が聞こえた。その歩調に迷いは感じ取れない。
次来る奴が、どんな奴か容易に想像できた。私は目を鋭くさせ其の扉を開けるのを沢山が銃声や鮮血が舞う中、待っていた。

「やぁやぁ！俺がこのフロア担当。＿＿天月アヤメだよ」

飄々とした口調で、酷薄とした笑みで笑う男。
戦場の扉を開けた時、男はそう笑って云った。私は瞬時に悟る。あの男は、私たちを液晶部屋(モニタールーム)で舐めるように見ていた男なのだと。

少し、気を張り男を観察する。
男は、そんな私の存在に気づいたらしく、私を見て猟奇的な笑みを深めた。

私は男を見つめた。
男も私を見つめた。
暫時の沈黙が走ったが鉄の重い音で沈黙は破れた。背中に当たる重みのない冷たさ。背中から感じられる気配。

「おいおい、嬢ちゃん。ンなところでよォ、ぼぉっとしてて……大丈夫なんか？殺されちま――」背後に回る新たな男の手を掴み上げた。
声が途切れたのを耳に男の手を勢いよく捻り上げる。すると痛みからか手から解放される銃。すかさず躰の向きを男に合わせ其れを蹴り上げた。銃が回転しながら半円を描くような軌道で遠くに飛ばされる。
其れを見届けた私は懐から小型銃を出し、男の耳朶目掛けて撃った。

一際大きな銃声が鳴った。
男からは血が出てきていないというのに、恐怖により情けなくも悲鳴を上げ倒れこむ。
そんな度胸しかないのならば、参加しなければいいというのに。私は心底思う。

だがしかし、その一際大きな音と悲鳴がみんなのコロシアイの手を止めた。
私はそれを見て、すかさずチャンスと云わんばかりににっこりと笑う。

「私さあ、名も知らない相手に殺されたくないのだけれど？せめて自己紹介をしようよ」

え、とした困惑な表情で私のことをまじまじと見る彼等。粗方場違いなことを云う変人だとでも思っているのではないだろうか。
そんなことを思いながら小型銃をショルダーホルスターに戻す。

「私、諏訪部大和ね。こんな名前や容姿だから男かと思うかもしれないが勘違いしてくれないでくれよ？私はれっきとした女だ。
そうだねえ、趣味は自殺。あ、別に重たい過去とかを持っているわけではないからね？全ては退屈だから、ただそれだけさ。この退屈な世界からいい加減醒めさせてほしいよ。
欲望は「死にたいこと」かなあ。後もう一つは……んん、なんでもない。よしておこう」

こうして、幾つもの死体が血に浮かんでいる中、奇妙な自己紹介が始まったのだ。