【刀剣乱舞】刀剣女士に転生したら顕現した瞬間に推しに殴られて刀突きつけられました。

本丸ツアー ページ11

「さて、出鼻を挫かれてしまいましたが、そろそろ行きましょうか。本丸ツアー」

本丸ツアーか。

「俺はやっぱり残ろうかな。あんまり大勢で行っても目立つし。

怪我もどうなったのかまだ分からないし」

部屋から出る直前、不動が言った。

「じゃあ、僕も残りましょう。三人でも十分目立ちます。

僕と長谷部でしたら、本丸ツアーガイドは長谷部の方が適任でしょう」

確かにそうかもしれない。

長谷部も頷いていた。

「では、行ってくる」

長谷部がそう言い、襖を開けた。

これから、どれだけ悲惨な光景が待っているのだろう。

少し、息苦しくなった。

部屋から出た瞬間、異様な気配を察知した。

まず、とにかく臭い。

金属のような臭いが、そこらじゅうに漂っている。

なんとなく、何の匂いか想像はついた。

政府の調査対象は書類と刀剣の状態だけらしいから、本丸の掃除は不要なのだろう。

それに、昼間なのにやけに静かで、時々遠くから呻き声が聞こえてくる。

「風呂と厠は割と近くにある。部屋を出てすぐ左だ」

長谷部が指した先には、確かにそれらしき部屋があった。

「風呂は男湯も女湯も分かれていない。まあ、女は審神者一人だしな。
入る順番は毎日審神者が決めるが、

基本的には、審神者、薬研、太刀、大太刀・槍・薙刀、打刀、脇差、短刀の順だ。

お前は、短刀たちが入り終わったあと、その日の掃除当番が来るまでに入ればいい。あいつにはまずバレないだろう」

「掃除係って誰がやるの？」

「内番の奴だ。原則として政府が定めた、馬当番、畑当番、手合せの他に、洗濯係、掃除係、料理番、夜伽係がある。

最後の一つ以外は、基本的に短刀たちが搾取されている」

平然とした顔で長谷部が言ってのけた。

夜伽係……まあ、触らないでおこう。知りたくもないし。

「燭台切とか、料理番やりたがらないの？」

「お前、燭台切を知っていたのか？」

あ、ヤバい。

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