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「……自動小銃。ノベスキーを貸して」
「ほい。何する気だ」
「子供を殺した奴らを抹殺する」
「それはミッションか?」
「NO!でも、私のミッションよ。生きるべき子供が死んで、死ぬべき奴等が生きてる。殺すしかないでしょ?ヤンは離脱してみんなと合流して」
「……好きにしろ」
ヤンは即座に口で信管を抜いて手榴弾を投げ、バリケードを出る。爆音の中、私は腕の中の子供をそっと寝かせる。そして、ママが寝る前の我が子にする様に、まだ温もりの残る額にキスした。お別れだ。
私が自動小銃を手に出ようとすると、派手に撃ち返しながら何故かヤンがバリケードに駆け戻ってきた。
「ヤン!何で!」
「半分片付けたぞ、褒めろよ」
言いながら横たわる子供の顔に手を伸ばす。何をするかと思ったら、開いたままの瞳を優しく閉じてあげてこう呟いた。
「Good night. Sleep well.」
「ヤン……」
ヤンは私にウインクすると、無線で「俺とAで野暮用ができた。15分後に遅れて合流する」と一方的に通信して、理由を問うバーニーの返事を切った。
呆気に取られる私にヤンは満面の笑みで言い放つ。
「友達は一緒に死ぬべきだろ?」
「……友達?」
「じゃあ生きて帰ったら『恋人』になるか?」
「それもいいわね」
「約束は守れよ!じゃあ、パーティーを始めようか」
バリケードを転がり出る。自動小銃を撃ちまくる。銃弾の雨、薬莢の散らばる血濡れた大地をヤンと手に手を取って進みながら、私は必ず守り抜くと誓った。私とヤンと、私のエゴにまみれたこの心を。
end
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るう(プロフ) - 緋月さん» 緋月様、こんにちは。コメントをありがとうございます!とても励みになります!ヤンが大好きで、これからも書いていきますのでこれからもお付き合い頂けたら幸いです。エクスペ4の話題も出て来たので、ますます頑張っていきたいです。 (2022年10月13日 22時) (レス) @page42 id: 18f6845a23 (このIDを非表示/違反報告)
緋月(プロフ) - 初コメ失礼します。文章の書き方といい、話の書き方がとても好きです!ヤンさん大好きです (2022年10月13日 13時) (レス) id: 2ff1628a0d (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - nonさん» non様、早速感想を頂き有難うございます!嬉しいです!エゴイストはヤンの過去を作成したり内容が真面目だったりと楽しめるか不安でしたが、お好みで良かったです。ホットドッグの話はヤンをキザでお茶目に描く事に注力しました!また是非ご訪問下さいませ! (2021年11月16日 1時) (レス) id: c14aa388ad (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - るうさん、こんにちは。エゴイストを読ませて頂きました。ヒロインがヤンと共に戦場に立ち、葛藤しながら生きているという設定がすごく好きでした。ホットドッグランチを読んだら、私も食べたくなってしまいました。 (2021年11月15日 18時) (レス) id: 4771644271 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - nonさん» non様 初めまして、作者のるうと申します。感想をありがとうございます!とても励みになります。と同時に、同志が居たことに歓喜しています!これからもヤン作品を増やしていく予定ですので、またご来訪下さいませ! (2021年11月10日 9時) (レス) id: c14aa388ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2021年11月6日 21時