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ホットワインの芳醇な香りが広がる。ヤンの温められた唇や舌がぬくくて、何だかとても気持ちが良くなってしまって、思わず私は瞳を閉じる。そのまま強く深く求められても、私はされるがまま。ヤンになら、何をされても嫌じゃなかった。
「……本当はAの命ごと、心も、体も、全部欲しいんだ。俺は欲深くてね」
キスの合間に、ヤンが秘密を打ち明けるみたいに囁く。
「ん……それは知ってる」
「だろうな。いいのか?俺はサンタになんて頼まない。帰還したら、全部貰うぞ」
「いいわ、あげる。だから、ちゃんとヤンも生き残ってよ」
「言ったな……はっ、お安い御用だ」
ヤンは私の頬に愛おしそうにキスすると、また唇にキスし始めようとする。私はそれをやんわりと止めて、かわりにヤンの首の後ろに腕を回してにっこりと微笑んだ。
「メリークリスマス、ヤン」
「……ああ。メリークリスマス、A」
少し目を丸くしたあと、嬉しそうに微笑み返すヤンに、今度は私からキスをした。
ここはニューヨークのロックフェラーセンターじゃないし、戦闘開始まであと少しだけれど、今だけはとびきりロマンチックだ。目を閉じれば、クリスマスのベルと聖歌隊の讃美歌が聞こえてきそうな気がした。雪はまだ、2人を祝福する花のようにちらちらと降り続けている。
end
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るう(プロフ) - 緋月さん» 緋月様、こんにちは。コメントをありがとうございます!とても励みになります!ヤンが大好きで、これからも書いていきますのでこれからもお付き合い頂けたら幸いです。エクスペ4の話題も出て来たので、ますます頑張っていきたいです。 (2022年10月13日 22時) (レス) @page42 id: 18f6845a23 (このIDを非表示/違反報告)
緋月(プロフ) - 初コメ失礼します。文章の書き方といい、話の書き方がとても好きです!ヤンさん大好きです (2022年10月13日 13時) (レス) id: 2ff1628a0d (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - nonさん» non様、早速感想を頂き有難うございます!嬉しいです!エゴイストはヤンの過去を作成したり内容が真面目だったりと楽しめるか不安でしたが、お好みで良かったです。ホットドッグの話はヤンをキザでお茶目に描く事に注力しました!また是非ご訪問下さいませ! (2021年11月16日 1時) (レス) id: c14aa388ad (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - るうさん、こんにちは。エゴイストを読ませて頂きました。ヒロインがヤンと共に戦場に立ち、葛藤しながら生きているという設定がすごく好きでした。ホットドッグランチを読んだら、私も食べたくなってしまいました。 (2021年11月15日 18時) (レス) id: 4771644271 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - nonさん» non様 初めまして、作者のるうと申します。感想をありがとうございます!とても励みになります。と同時に、同志が居たことに歓喜しています!これからもヤン作品を増やしていく予定ですので、またご来訪下さいませ! (2021年11月10日 9時) (レス) id: c14aa388ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2021年11月6日 21時