消耗品の付属品【エクスペンダブルズ】

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「あぁ……そんなんありか？」
「まさか騙されるなんて思わなかったわ」
「普通じゃ騙されない。でも、Aのことだったから頭に血がのぼって……クソっ！結婚だなんて、ほんと、悪いジョークだぞ。最悪だ」
「ヤン……」

　私が近づくのに気づくと、喚いていたヤンは途端に俊敏な動きで後退りする。

「おいA、今こっちに来るな」

　手で顔を隠して俯きながら、全身で威嚇してくる。毛が逆立ってないだけで、まるで追い詰められた猫みたいだ。全然怖くない。

「なんで？」
「今、すごい情けない顔してるから」
「見たい」
「よせ」
「ヤン」
「来るなって」
「ヤン、好きよ」

　ヤンがはっとして顔を上げる。私はその一瞬の隙を見逃さずにヤンに抱きついた。その胸に顔を埋めて、もう一度「好きなの」とさっきよりも強くはっきりと言った。

「本当にごめんなさい。どうしてもヤンの気持ちが知りたくて……そしたらツールが『エイプリルフールにかこつけて、結婚するって匂わせてみろ』って」
「……ツールめ、あとで絶対殺す」

　ヤンが私の体に腕を回しながら、舌打ちした。そして頭のてっぺんにキスして、ぎゅっと抱き締めながら「悪い女め」と耳元で囁く。

「……で？Aは俺のものになってくれるんだな？」
「うん」
「じゃあ話が早い。行くぞ」
「え？どこに？」
「俺の家。これが嘘になる前にさっさとAを抱いて既成事実を作ってしまおうと思ってな」
「……は？」
「ん？なんなら今すぐ、ここでもいい。今日のAは嘘つきだから早い方がいい」

　会話の途中で既に私の体は持ち上げられて、会議用のテーブルにそつなく乗せられる。ヤンは片膝を乗り上げてそのまま私を倒すと、自分の首元を寛げながら最高に悪い顔で微笑んだ。

「どうせなら今日の日付が変わるまでするか。4月2日に何を言っても、もう無駄だからな」

　ああ、参った。相当根にもたれている。でもそれを恐れ慄く間も無く、ヤンの手が服の裾から滑り込んできた。

「たっぷり可愛がってやるから覚悟しろよ。あと……好きだA。愛してる。俺の家族になってくれるよな？」

　ヤンの甘ったるい台詞なんてきっと二度と聞けない。これがエイプリルフールの仕返しだとしたら悲しいけれど、ヤンの熱いキスと抱擁は信じるに足る真摯さと愛に溢れていた。4月1日も2日も、愛の前ではもはや意味を持たないみたいだ。
　私は安心して頷くと、ヤンのキスに答えながら快楽の海に沈んでいった。

end

シークレットナイト（ヤン）→←結婚します。（ヤン）

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