消耗品の付属品【エクスペンダブルズ】

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空気が燃えて震える、ビリビリして熱い。耳が痛い、肺が苦しい。走り過ぎたから呼吸が整わない。息を吸いたくて、私を庇って抱き込んだヤンの腕の間から顔を上げると、不思議なほど静かだ。きっと、敵は全滅したのだろう。なにせこっちがこのザマだ。私だけでなく、ヤンの荒い息遣いが今回がどれだけヤバかったか物語っていた。

「はぁ、はっ、はぁ……」
「はぁ、はぁ、ヤンっ、ヤン！大丈夫？」
「問題ない。A、怪我は？」
「ないよ。ありがとう、助けてくれて」
「この見返りはもらうぞ」
「賃上げ以外なら、なんでも」
「じゃあ、今もらう」
「今？ヤ、んっ……！」

　ヤンの乾いた唇が素早く私の口を塞いだ。すぐにするりと舌が入ってきて、遠慮なく私のそれに絡みつき、的確に口内を攻めてくる。普段クールな彼からは想像出来ないような熱心なキス。ようやく唇が解放された頃には、整いかけたはずの息がまたすっかり上がってしまっていた。

「……ヤンって、こ、こんな事するんだね、やらし」
「茶化すな」
「だって」

　普段全く女に無縁そうな感じのくせに。このキスは予想外すぎてなんかズルい。

「おーい！ヤーン、A！生きてるかー！」
「GPSだとここら辺だ。おーい！」

　遠くでシーザーとトールの声。迎えに来てくれた！嬉しくて「ここだよ！」と伸び上がって叫ぼうとしたら、ヤンの手で強引に口を塞がれてまた茂みに引きずり込まれた。

「ちょっと、何すんの！」
「なぁ、ダイナマイトっていくらすると思う？」
「は？何言ってるの」
「ダイナマイトは個人的に作ったもんだ。費用は個人負担だからな、きっちりその分払ってもらうぞ。ちなみにまだ全然足りない」
「え？えっ！？」

　気付けばすっかりホールドされていて、「嫌なら突き飛ばせよ」なんて耳元で囁かれてももう遅い。こんな非戦闘要員の私が、武術の達人の腕から逃げられるはずもなく。なんなら心まで囚われかけていて。こんな状況で何やってるんだろ。ヤンの乾いた唇をまた受け入れながら、とりあえず、帰ったら日本語対応のGPSを探さなくっちゃと火照った頭の端で考えていた。

end

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