屋上イブニング！【鈴華様リクエスト：学パロ、中也先輩に告白する夢主】 ページ9
『こら！！』
大きな声を出すと、目の前の小柄な肩がびくり、と跳ねた。
「ンだよ…手前ェか、流華」
振り返った彼は盛大に顔を歪めて舌打ちを一つ。
『へへ、イタズラ大成功』
笑って流華は彼の横に腰を下ろす。
「授業中じゃねェのかよ？」
『その言葉、そのまま返しますよ、中也先輩』
二人、顔を見合わせて笑い出す。
『３年は、なんの授業だったんですか？』
「さァな。２年は？」
中也が流華を見る。
『水泳ですけど……まぁ女の子ですから』
「……悪ィ」
ふいと逸らされた視線。見える耳が少々赤い。
少し笑って、流華は中也の髪が揺れる様子を見つめる。
懐かしい。
初めて中也と出会ったのも、この屋上だった。
ただ、なんとなく。寂しい気分になった、１年の終わり。
ふらふらと校内散歩している時に見つけたのだ。
立ち入り禁止はずだった屋上の扉が空いているを。
その時初めて屋上から夕日を見た。
あんまりにも綺麗で、思わず手すりに駆け寄った。
瞬間。
流華の背中を羽交い締めにして引き倒したのが中也だった。
「悪ィ、その、飛び降りると思って……」
そう言った彼は、今みたいに真っ赤だった。
あの出逢いから、もう１年。
もうすぐ夏休みが来る。
今日が、きっとここで逢う最後。
もうすぐ、中也は引っ越してしまう。
一月前にこの屋上で本人から聞いたから、間違いない。
でも、お陰で気づいた。
胸のうちにあった、淡い恋心。
この屋上で逢って。
言葉を交わして。
たまにお昼を一緒に食べる。
それだけの関係だったのに、流華はいつの間にか中也を好きになっていた。
だから。
だから、今日ここにきた。
誰にも邪魔されない、２人きりの場所に。
『中也先輩』
「ン？」
こちらを真っ直ぐに見る、青い瞳に間抜けなくらい緊張した自分が写る。
『私、中也先輩が好きです。
絶対同じ大学行きますから……返事はその時聞かせてください！』
これは、未来への決意表明。
目を真ん丸にする中也に背を向けて流華は走り去る。
チャイムの音が、走る流華の心臓の音に重なった。
――この時、真っ赤になった中也が屋上で硬直していたのは、太陽だけが知っている事実。
――――
リクエストを頂きました。
鈴華様誠にありがとうございます！
アップ遅くなってしまい申し訳ございません
可能であれば感想をお願いいたします。
2017年7月21日ちょこ
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ＡＳ(プロフ) - 何時でもいいので、書いて頂けたら本当に嬉しいです！(*´∀｀*)これまで数々の素敵なお話を本当にありがとうございました！ちょこさんの作品を通して、視野が広がり、中也さんをより好きになることができました。長々のコメント失礼しました、最後まで応援しています！ (2018年5月9日 21時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - これまで読ませて頂いてきました！ちょこさんの作品はずっと尊敬していて、本当に素敵なお話ばかりで、表現も素晴らしく…本当にちょこさんの作品が大好きです。もし良ければリクエストで、死人の幸せの続きで、夢主が妊娠して結婚に至るまでを書いて頂きたいです。 (2018年5月9日 21時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃんりんご - 「死人の唇」の続編ありがとうございます！中也さんと夢主ちゃんが幸せに暮らしているのを見て、嬉しくなりました！こんな素晴らしいお話をありがとうございます！！それとお話を催促するような感じになってしまいすみません。あと少しですが応援してます！ (2018年5月9日 20時) (レス) id: 4d17e83c8d (このIDを非表示/違反報告)
ルキア@中原中也の嫁になりたい(プロフ) - ありがとうございます！この作品にあった「再会」そして「再熱」というお話（その５にあったはず…）の続編として、中也､自身の子どもに会うというお話を書いていただきたいのですがよろしいでしょうか？ (2018年5月9日 0時) (レス) id: c7e2de022e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - トップにも書かせて頂いた通り終了間近となっております。なかなかお返事が出来ない状況で申し訳ございません。またリクエストを頂いてもお答え出来かねる事態も発生するかと存じます。ご了承ください。 2018/5/8ちょこ (2018年5月9日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2017年7月1日 21時
