【文スト】【文豪ストレイドッグス】短編集【中原中也詰め】其の11

悪ノ娘と召使【ルキア様リクエスト：悪ノ娘悪ノ召使パロディ】 ページ44

此れは昔々の物語。
王女の名は流華。
召使の名は中也。

産まれてすぐに、二人の運命は引き裂かれました。
流華が【神】によって王女に選ばれたのです。

こうして人々に蝶よ花よと育てられた流華はとても可愛らしい少女に育ちました。
しかし、誰に叱られる事も無かった流華の我儘は限界がありません。
可愛いドレスも、靴も、愛馬も、宝石も、ご馳走も。
流華は我慢を知りません。

王宮のお金はみるみる減っていきます。
王国の税金はみるみる上がっていきます。

けれど、流華はそんな事は知らんぷりです。

『ねぇ、中也！このドレス！』
「似合ってるぜ、流華」

召使の中也は無邪気に笑う可愛い流華が大好きです。
彼女が笑っていられるなら、なんだってする心算でした。

そんなある日の事。
王女の部屋に呼び出された中也は驚きました。
流華が泣いていたのです。

「如何した、流華？」

優しく問う中也に流華は訥々と語ります。
海の向こうの王子に恋をしたこと。けれど、王子は隣国の村娘に夢中だという事を。

『お願い、中也……隣国を、潰して……』

か弱い流華の声に、中也は深く頷きました。

中也自らの手で隣国を滅ぼしました。
そして、同じ手で流華のおやつを焼きました。

『美味しい！』頬張って笑う流華は、矢張りとても愛らしいのです。

王宮の中はとても穏やかです。
でも、中也には分かっていました。
この時間は長く続かないだろう、と。

程なくして、怒れる民衆によって王宮は攻められました。

「流華、この服を着て逃げろ！」

ああ、可愛い流華。
君が悪ならば、自分だって悪なのだ。

「大丈夫、俺らは双子だ。バレやしねェよ」

中也は毅然と前を向いて、流華のドレスを翻し、民衆へ向けて一歩を踏み出しました。
屹度もう逢えないでしょう。『王女』は処刑されるのだから。
ならば、最期の一瞬まで君になる。
君の幸せの為に。

中也には何の迷いも後悔も有りませんでした。

「おやつの時間だわ」

断頭台の上で流華の口癖を真似た中也は、民衆等には目もくれずただ穏やかに微笑んで散っていきました。

産まれ変われるならば、また流華と出逢いたいと願いながら。

こうして、昔々何処かにあった悪逆非道の王国は亡んだのでした。

――――

リクエストを頂きました。
ルキア様誠にありがとうございます！
このようなモノでよろしかったでしょうか？
可能であれば感想をお願いいたします。

2018年4月18日ちょこ

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