あらしのよる ページ25
風が唸る。
この表現がこんなにしっくりくる夜も珍しいだろう。
そんな事を考えながら、中也はぐっしょりと濡れた帽子を見つめてため息を吐き出した。
殲滅任務と嵐の接近がかち合った。
なんとかヨコハマに来るまでに片づける心算だったが、敵も必死だ。
殺させてください、と云って首を差し出すはずもない。全力で抵抗してくる。
しかも、骨のある異能力者が混じっていたせいで、手こずって時間を食った。
さらに最悪な事に、台風が急に速度を上げて突っ込んできた。
性質の悪い偶然が重なって、土砂降りの中辛うじて逃げ込んだのが、今にも吹き飛びそうな小屋。
電気も瓦斯も水道も無い。オマケに雨漏りが酷い。
此処で一夜を明かすのか、と思うと憂鬱以外何物でもない。
「まァ、仕事片付いただけマシかァ」
溜息と一緒に、なんとか自分を励ます言葉を吐き出す。
傷も掠り傷程度だ。異能で小屋を地面にしっかり押し付けておけば、どんなに風が唸っても、とりあえず小屋ごと飛ばされる心配は必要ないだろう。
壁に体を預けて一つ、息を付く。
その時だった。
粗末な小屋の扉を叩く音がしたのだ。
まさか、先ほど殺し損ねた残党か？
身構える中也の耳に届いたのは、よく知った声だった。
『中也先輩、いますか！？』
風に負けまいと叫んでい居るのは、部下の流華だ。
「手前ェ、先に帰れって云ったろ！？」
慌てて扉を開けると、びしょ濡れのまま、彼女が困ったように笑った。
『中也先輩が心配で探してました』
この状況では、もう帰れとも云えない。
彼女を小屋に招いて、扉を閉める。
『応急処置用ですけど、救急箱持ってきました』
ごそごそ大事そうに抱えていた箱を開けて中也の手当を始める流華。
手当を受けながら、中也はほんの少し微笑んだ。
憂鬱でしかなかった、この嵐の夜がほんの少し、楽しみになっていた。
君は恋人【runa☆様リクエスト：ヤンデレ中也、ノーマル夢主】→←甘味ホリック
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ＡＳ(プロフ) - 何時でもいいので、書いて頂けたら本当に嬉しいです！(*´∀｀*)これまで数々の素敵なお話を本当にありがとうございました！ちょこさんの作品を通して、視野が広がり、中也さんをより好きになることができました。長々のコメント失礼しました、最後まで応援しています！ (2018年5月9日 21時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - これまで読ませて頂いてきました！ちょこさんの作品はずっと尊敬していて、本当に素敵なお話ばかりで、表現も素晴らしく…本当にちょこさんの作品が大好きです。もし良ければリクエストで、死人の幸せの続きで、夢主が妊娠して結婚に至るまでを書いて頂きたいです。 (2018年5月9日 21時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃんりんご - 「死人の唇」の続編ありがとうございます！中也さんと夢主ちゃんが幸せに暮らしているのを見て、嬉しくなりました！こんな素晴らしいお話をありがとうございます！！それとお話を催促するような感じになってしまいすみません。あと少しですが応援してます！ (2018年5月9日 20時) (レス) id: 4d17e83c8d (このIDを非表示/違反報告)
ルキア@中原中也の嫁になりたい(プロフ) - ありがとうございます！この作品にあった「再会」そして「再熱」というお話（その５にあったはず…）の続編として、中也､自身の子どもに会うというお話を書いていただきたいのですがよろしいでしょうか？ (2018年5月9日 0時) (レス) id: c7e2de022e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - トップにも書かせて頂いた通り終了間近となっております。なかなかお返事が出来ない状況で申し訳ございません。またリクエストを頂いてもお答え出来かねる事態も発生するかと存じます。ご了承ください。 2018/5/8ちょこ (2018年5月9日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2017年7月1日 21時
