【文スト】【文豪ストレイドッグス】短編集【中原中也詰め】其の11

運命を閉じ込めて【ユウソラ様リクエスト：ヤンデレ中也と一般人夢主】 ページ20

視界がグラグラと踊る。
地震かと疑ったけれど、ぐにゃりと形を変えた裸電球が眩暈なのだと教えてくれた。

――此処は何処だろう？

吐き気がするような頭痛と眩暈の中で、流華はなんとか思考を巡らせる。

今朝、起きた時は何時も通り、一人暮らしを営む小さな部屋の中だった。
普段と同じように身支度を整えて、朝食に昨夜の残りを食べた。
それで、戸締りをして出勤しようとして…。

そうだ。
駐車場で、声を掛けられたのだ。

「悪ィ、道を教えてくれねェか？」

その後の、記憶が全くない。

其処から導かれる解答に、ぞくり、と背筋が寒くなった。

自分は、誘拐されたのだ。
何処の誰とも知らない男に。
そして、今なお閉じ込められている。

『……逃げなきゃ』

這うようにして混凝土の床を進む。
いや、進もうとした。

だが、不可能だった。

彼女の足首には頑丈な枷がはめられていたのだ。

『やだ、なに！？』

恐慌状態で荒く引いても鎖はびくともしない。

その時。

部屋の唯一の扉が開いた。
入ってきたのは、朝見た、あの男。

『ひっ！』

咄嗟に後退する流華に、目の前の男は首を傾げる。

「如何したァ、流華？俺が分からねェのか？」

問いかけに、頷く。
途端、彼の瞳から、つぅ、と涙が零れた。

「俺の事、覚えてねェのか……？」

本能が警鐘を鳴らす。思い出さないと。思い出さないと、何をされるか分からない。
必死になって記憶を辿る流華の脳裏で、彼の赤銅の髪が翻った。

『社長の……』

そうだ。一度、会社で逢った。社長室に案内した事がある。

「思い出してくれたのか？」

ぐっと、顔を近づける彼に頷くと、とても嬉しそうに笑んだ。

「今日から、俺の事は中也って呼んでくれ」

頬に触れる手に肌が泡立つ感覚を覚える。
そんな流華に構わず、笑顔のまま中也は云った。

「今日から、手前ェは俺のモンだ」

――――

リクエストを頂きました。
ユウソラ様誠にありがとうございます！
このようなモノでよろしかったでしょうか？
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2017年8月16日ちょこ

懐柔【runa☆様リクエスト：獲物、続篇】→←欲しいモノ捕まえて【runa☆様リクエスト：欲するがまま(其の４)続篇】

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