死人の唇【ありす様リクエスト:死人の情愛続編】 ページ39
「流華…」
冷たい手が、此方に伸ばされる。
「おやすみ」
『…おやすみ』
私は、涙を隠して微笑んで返す。
中也は、もう人間ではない。
異能によって蘇った、異形。
生きる屍なのだ。
記憶も、自我もありながら、中也は人を食らう。
まだ、今は理性で本能を抑え込んで、死肉を食んでいる。
だが、屹度いつか生きた人間を食べる欲求に負けてしまうと彼は云う。
だから。今、二人の寝室は別だ。
中也は、自らを檻の中に閉じ込めて私に鍵を渡す。
そうしないと、眠る私を食べてしまいそうで怖い、と。
独りきりで眠るには広い寝台で私は膝を抱えて考える。
『…これから、どうなるのかな?』
つい零れた独り言は随分湿っぽい。
頭を強く振って、後ろ向きな思考を振り落とす。
大丈夫。
中也が帰ってきてくれた。
それだけで良いと、確かに思ったはずだ。
だから。
私には中也がいるから。
屹度、大丈夫。
自分に言い聞かせるように、私は今日も浅い眠りに落ちていく。
※
中也の手が空で躊躇う事が増えるようになった。
また、怯えている。私を食べてしまう事に。
其れを、察して、私は何も云えない。
こんなに、想いあっているのに、私たちはすれ違う。
もう、厭だ。
耐えられない。
ならば。いっそ、中也と同じ種族に落ちるか。
さもなくば、来世の成就を願って、共に黄泉路を行くか。
「な、流華!?」
驚いた彼。
押し倒した私は、そっと中也の頬に手を添える。
『大丈夫だよ、中也』
私の決意を感じてくれたのだろう。
中也が、一度瞳を閉じて、微笑んだ。
「ありがとな」
『私こそ。中也…』
「待て。俺に云わせろよ」
唇を、冷たい指先が塞ぐ。
「愛してるぜ、流華」
『大好きだよ、中也』
二人同時に笑いだして。
そっと、唇を合わせる。
触れ合うだけの口づけから、やがて互いを貪るように…激しく。
その時。
確かに私は聞いた。中也の鼓動の音を。
――――
リクエストを頂きました。
ありす様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2017年4月17日ちょこ
御姉様は雪の女王【なかはらあお様リクエスト:御姉様シリーズでアナ雪パロ】→←酔いどれ思惑模様【777様リクエスト:酔いどれ恋模様続編、記憶のある夢主】
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ(プロフ) - メガネコさん» お待たせいたしました!其の十にてアップ完了いたしましたので、ご確認よろしくお願いいたします! (2017年4月30日 21時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 葵さん» お返事遅くなりすいません!ご確認誠にありがとうございます!わわ有難いお言葉感謝です!続編のご希望嬉しいです!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» 某コンビニのアレですか!いいですね、羨ましい!作者田舎住まいでまだゲットできてないのです! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» お返事遅くなりすいません!お久しぶりです!リクエスト誠にありがとうございます!精神ごと6歳に戻った中也さんのお話ですね、畏まりました!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 続編ありがとうございます!!わああ!!嬉しい!! ちょこさんの中也さんが大好きです!!もしよければまた続編書いて頂けないでしょうか? (2017年4月28日 5時) (レス) id: 71981e8c07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2017年2月25日 15時