ラプンツェル 【八紡陽人様リクエスト:ラプンツェルパロ】 ページ35
ある日。王子様は、少し散歩でもしようかと森を歩いていました。
その時、微かな声が聞こえました。誰かが、歌っているのです。
その歌声に導かれるように王子様は歩みを速めます。
辿り着いたのは、入り口の無い高い塔でした。
どうやら、声の主は塔の上で歌っているようです。
暫く様子を見て、王子は魔女が窓から垂らされた長い髪を使って塔に出入りしているのを見ました。
「野萵苣(ラプンツェル)、私だよ。お前の長い髪を垂らしておくれ」
魔女の声色を真似て王子が声をかけると、するする長い髪が降りてきます。
美しい髪をしっかり掴んで。上へ。上へ。
登りきった塔の中には、あどけなさの残る少女がいました。
『だれ…?』
王子は怯える彼女に非礼を詫びて。
「俺は、中也だ」
名を少女に明かしました。
中也が先刻聞いた歌の事を話すと、少女は恥ずかしげに頬を染めます。
「手前ェ名は?」
『…流華』
ほんの少し微笑んだ彼女に、王子は恋をしました。
魔女に隠れて、2人は何度も逢瀬を繰り返し、そして愛を育みました。
そして。いつの間にか流華の胎に中也の子が宿ったのです。
それを知った魔女は大層怒り流華の長い髪を切って荒野へと放り出してしまいました。
何も知らぬ王子様。
いつもの様に塔に行って。
魔女から全てを聞いて嘆きます。
愛しい流華と子供はもうきっと荒野で死んでしまったと。
仇の魔女を手にかけて。
王子は塔から身を投げます。
それでも死ねず、王子は盲目で1人生きる責め苦の時を過ごす事になりました。
※
それから7年。
街を視察していた彼は足を止め、慌てて振り返りました。
あの日。初めて流華に逢った日、彼女が歌っていたのと同じ歌が聞こえたのです。
間違えるはずもありません。
流華の声です。
声のする方へと走ります。
小さな宿屋に、彼女はました。
そうです。流華は生きていたのです。
そして。彼女のお腹の子も。
「…良かった」
泣きながら抱きしめ合う2人。
ほろり、こぼれた流華の涙が、中也の瞳に落ちると、不思議な事に彼の瞳は光を取り戻しました。
久々に見る世界。
そして愛する流華。
中也は喜んで流華と子供を城に連れ帰り、末永く幸せに暮らしましたとさ。
――――
リクエストを頂きました。
八紡陽人様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2017年4月13日ちょこ
酔いどれ朝模様【なかはらあお様リクエスト:酔いどれ恋模様続編】→←死人の情愛【ありす様リクエスト:ゾンビ中也と夢主、禁断の愛】
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ちょこ(プロフ) - メガネコさん» お待たせいたしました!其の十にてアップ完了いたしましたので、ご確認よろしくお願いいたします! (2017年4月30日 21時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 葵さん» お返事遅くなりすいません!ご確認誠にありがとうございます!わわ有難いお言葉感謝です!続編のご希望嬉しいです!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» 某コンビニのアレですか!いいですね、羨ましい!作者田舎住まいでまだゲットできてないのです! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» お返事遅くなりすいません!お久しぶりです!リクエスト誠にありがとうございます!精神ごと6歳に戻った中也さんのお話ですね、畏まりました!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 続編ありがとうございます!!わああ!!嬉しい!! ちょこさんの中也さんが大好きです!!もしよければまた続編書いて頂けないでしょうか? (2017年4月28日 5時) (レス) id: 71981e8c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2017年2月25日 15時