猫、気づきました!【美袋様リクエスト:猫シリーズ、恋心に気付く夢主】 ページ17
「悪ィ、流華。
…埋め合わせはちゃんとするから」
ぴん、と立った猫耳の真ん中に置かれる、優しい手の平の温度。
『大丈夫です!いってらっしゃい!』
尻尾の先にまで、嘘をつかす。
今日。中也さんはずっと家にいるはずだった。
突然、彼の携帯電話が鳴る迄は、傍にいてくれた。
でも、中也さんは仕事に行く事になってしまった。
「飯、冷蔵庫のモン温めて食えよ!」
『はぁいです!』
返事をして、黒外套の後ろ姿を送り出す。
ぱたん、と玄関扉が閉じたら一人きりになった。
途端に、尻尾がだらん、と下がってしまう。
『むぅ…』
何もする気が起きない。
大好きなお昼寝も、日向ぼっこも、テレビも気が乗らない。
流華は、少し首を傾げる。
体調は悪くない。
なのに、お腹も空かない。
なんでだろう?
考えても、よく分からない。
気乗りはしないけれど、テレビでも見れば少し気分が変わるかもしれない。
面白い番組を探してチャンネルをどんどん変えていく。
ふと、指先が止まった。
『これ、中也さんが好きな番組の再放そ…』
振り返って。
彼は仕事だと思いだす。
しん、と静まりかえった部屋。
思わず、じわりと涙が滲む。
…あ、分かった。
寂しくて、つらくて、かなしいのだ。
『…ふぇ、中也さ…ん!』
中也さんと、お休みしたかった。
笑って、一緒にいて欲しかった。
…なんで?
流華は、また首を傾げる。
その時。テレビの中の誰かが【恋】と云った。
すとん、とその言葉が心の中に落ち着いた。
『私…中也さんが…好きなんだ』
甘くて、幸せで、照れくさくて。一気に顔が真っ赤になる。
どうしようどうしようどうしよう!!
落ち着かなくて、部屋中走り回って。
慌て過ぎて、滑って、転んで。
着地したソファに、出かける前まで中也さんが着ていた普段着が置いてあった。
ふわり。鼻腔を擽る、彼の香りにとても安心する。
『中也さん…』
思わずぎゅうと其れを抱き締めて目を閉じる。
――帰宅した中也が、そのまま眠っている流華を見つけるのはこの5時間後の事だ。
――――
リクエストを頂きました。
美袋様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2017年3月14日ちょこ
きらり、三番星!【翠輝様リクエスト:きらり、二番星!続編】→←甘えん坊ラーンドアレッスン【誠咲(みざ)様リクエスト:甘えん坊シリーズ、叱られる夢主】
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ちょこ(プロフ) - メガネコさん» お待たせいたしました!其の十にてアップ完了いたしましたので、ご確認よろしくお願いいたします! (2017年4月30日 21時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 葵さん» お返事遅くなりすいません!ご確認誠にありがとうございます!わわ有難いお言葉感謝です!続編のご希望嬉しいです!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» 某コンビニのアレですか!いいですね、羨ましい!作者田舎住まいでまだゲットできてないのです! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» お返事遅くなりすいません!お久しぶりです!リクエスト誠にありがとうございます!精神ごと6歳に戻った中也さんのお話ですね、畏まりました!4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 続編ありがとうございます!!わああ!!嬉しい!! ちょこさんの中也さんが大好きです!!もしよければまた続編書いて頂けないでしょうか? (2017年4月28日 5時) (レス) id: 71981e8c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2017年2月25日 15時