【文スト】【文豪ストレイドッグス】短編集【中原中也詰め】其の1

書類と元相棒と恋人同士【佐久間楓様リク：ツンデレ中也、太宰に嫉妬してデレる】 ページ10

『中也』

声をかけてみるが、真っ黒い背中は動かない。
せっかくの休日というのに、彼は可愛い恋人よりも書類が大切らしい。

『ねぇってば…中也、きてよ』

寝台に転がって、ちょっと大胆に誘ってみる。
だが、しかし。矢張り彼は振り向かない。

「今、仕事してんだよ」

そんな言葉だけ飛んでくる。
もう、流石に頭にきた。

『中也の…チビ！』
「あァん！？」
『この間太宰さんに遭ったけど、やっぱり背は高いし紳士だよねぇ』

腹立ち紛れに中也の元相棒を引き合いに出してみる。
この間、路上で偶然会った彼は、晴れやかな顔をして…心中に誘ってきた。
それくらいの接点でもいいじゃない。振り向かない中也が悪いんだ。
視線を中也から離して、寝台から降りようとする。

次の瞬間、重い音を立てて自分の右側の寝具が凹んだ。
恐る恐る目線を上げると、剣呑な光を湛えた青い目が間近にある。え、布団ドン？ちょっと新しい？なんてふざけている場合じゃない。

「今、なんつッた？」

怒らせた。たぶん、本気で怒らせた。低い声音に無意識に息を呑む。

『えと…』
「なんで…なんで、いつも手前ェはそんな…」

自分の両足の間に彼の膝が割り込む。伸し掛かられる重み。密着する体温。
首筋に痛みが走って、彼の所有印が刻まれた。

「こんな、愛してるのに…そんなに太宰のが良いのか？」
『中也…』
「止めろ。彼奴の処なんか、行くな。俺の傍にいろ」

苦し気な声に、思わず彼の顔をのぞき込む。
大事なモノを取り上げられた子供みたいな顔。その瞳に揺れているのは、嫉妬。

『中也、御免…どこにも行かないから』

思わず手を伸ばして彼の頭を掻き抱く。

『ちょっと中也の書類に嫉妬しちゃったから…酷いこと云っちゃった。御免ね、中也』

彼の青い瞳が揺れている。

「…は、はァ！！？」

意味を理解したのか、どんどん彼の顔が赤くなる。

『中也、可愛い』
「この、莫迦！！仕事全部終わらせてからにしてやろうと思ったが…」

直接耳に注ぎ込まれる言の葉。「今日は寝ようなんて思うなよ？」

そこで私は危機を思い出す。けれど、もうこの男から逃れる術はない。

―――――

リクを頂きました。
佐久間楓様誠にありがとうございます！
このようなモノでよろしかったでしょうか？
可能であれば感想をお願いいたします。

2016年6月25日ちょこ

花言葉は永遠の愛【矢印様リクエスト：夢主の死によるシリアス】→←朝食を【カラス様リク：甘えた中也】

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