朝食を【カラス様リク:甘えた中也】 ページ9
何か良い匂いがする。
目覚めた中也が一番に感じたのはそれだった。
体を起こす。見れば、隣にいるはずの女がいない。
どこへ行った?考えて、先ほどから嗅覚を刺激する香りが焼き魚のそれだと気が付いた。
気配を殺して台所を確認すると、やはりそこに流華がいた。
朝餉(あさげ)の準備をしているらしい。忙しなく動く背中は、華奢で愛らしい。
それと同時によく分からない衝動に突き動かされる。
自分でも何故そうしたか、分からない。
あえて言うなら、彼女の後ろ姿を見た瞬間、自分の中の寂しさが沸騰した。
『…中也どうしたの?』
気づいたら心配そうな眼で彼女が自分を見上げている。いつの間にか、彼女をきつく、抱きしめていた。いや、違う…彼女に抱き着いていた。
『私が布団にいなくて寂しかった?』
「違ェ」
そんな簡単な話じゃない。
「初めてなんだ。誰かが、俺の為に飯作ってるなんざ…」
だから、胸を占めた、喪失感に似た衝動。
『泣かなくていいよ』
ふいに髪を撫でられて、自分がどんな酷い顔をしているか思い知った。
そして、同時に…どこかで自分が求めていた母性に初めて触れた気がした。
「流華、悪ィ」
『大丈夫!甘えたな中也も可愛い!!』
「何云ってんだ、莫迦…」
彼女の首筋に顔を埋めて何度か深呼吸を繰り返す。
その間、料理の手を止めた彼女は何度も中也の髪を梳いていた。
「なァ流華」
『何?』
「毎日、俺の為に…手前ェの味噌汁作れ」
『なっ、中也!?』
口をついて出た古風な求婚の言葉に流華は赤くなって、慌てて体ごと此方を向いた。
「愛してる」
囁いて、口づけて、抱きしめる。
それだけで先刻まで荒れ狂っていた焦燥も寂しさも溶けていく。
幸せな朝に中也は小さく笑った。
――――
初めてリクを頂きました。
カラス様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年6月25日ちょこ
書類と元相棒と恋人同士【佐久間楓様リク:ツンデレ中也、太宰に嫉妬してデレる】→←天邪鬼
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時