猛暑 ページ6
「暑ィ…」
こんな日は、本当に、マフィアの色を黒と決めた奴を捻り潰してやりたくなる。
中也はそんなことを考えながら、道を行く脚を速める。
本当に熱中症で死ぬ。
任務をやり遂げた帰路で死ぬ。
いやいやいや、ありえねェだろ。
トレードマークの帽子を目深に被ってみても、日陰に入ってみても焼け石に水。もちろん、恨みったらしく太陽を睨んだからって陰る訳もない。
あまりの暑さにため息をついて、ふと、良い事を思いついた。
流華…本日非番の愛しい恋人の家がこの近くだ。ちと涼ませてもらって、水の一杯くらい貰っても罰は当たるまい。うんそれが良い。
…別に遭いたいとかそんなんじゃねェ!!いや、遭いたくない訳でもねェけど…
誰に対してか分からない言い訳を頭に再び歩く中也の頬には、先ほどまでは無かった笑みがあった。
※
恋人の住むマンションの階段を軽やかに駆け上がり扉前の呼鈴を鳴らす。
奥のほうで『はぁい!』と聞こえて足音がこちらに掛けてくる。
呼鈴鳴らしてんだからまずは其方で対応しろよ、不用心な奴。内心思いながらも、突然の来訪に在宅してくれていた嬉しさがこみ上げるのを抑えられない。
やがてガチャガチャと鍵を開ける音がして。
『何方様ですかぁ?』
そう言いながら姿を現した流華。
ざっくりと纏めた髪、細い腕を晒した袖なし襯衣、白い腿が覗く短袴。
余りといえば余りにも警戒心の無い彼女に中也は思わず拳を叩きつけた。
※
「ったく手前ェは!!」
『いきなり殴るなんて酷いです、中也さん』
「俺で良かっただろうが!!」
自分が殴った頭を抱える恋人相手に思わず声を荒げる。現在、流華の部屋の中である。
とにもかくにも、世の中は危険に満ち溢れているのだ。それをきちん、と躾ておかないと彼氏として此奴を放っておけやしない。
『何がダメなんですか!?暑いじゃないですか!?』
…まだ云うか、此奴。
思わず頭を抱えた拍子に視線が下に落ちる。
床に座り込んでいる流華の白い脚が、目の端でちらつく。
つい先日の任務のせいか、痣の多い其れは却って美味そうに暑さの中で揺らいで。
云って分からねェ奴は…
頭を掠めた言葉が熱病みたいに欲望に直結する。
「何が駄目か、手前ェの躰に教え込んでやるよ」
『わぁ!?』とか『きゃぁ!!』とか暴れる流華を無視して、中也は彼女を抱き上げたまま寝室の扉を蹴り開けた。
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時