世話焼系男子と脱力系女子-後編- ページ42
彼はとろり、と液体を手に取る。伸ばす。それを私の髪に塗りたくる。
泡立つ、シャンプー。事後の気怠い空気なんてお構いなしに、中原幹部が勝手に持ってきた其れは花の甘い香りをまき散らす。
鏡で見れば見るほど不釣り合い。
なんで私なんか抱いたんだろうか、この人。
そんな事を考えていたら「滲みるぞ？」なんて云われた。目を閉じると、丁度いい温度のシャワーが降ってくる。
「綺麗にしてたら、美人なんだからマシにしてろよ」
若干照れたように捲し立てる彼に首を傾げる。
私は綺麗なんかじゃない。シャワーが止まる。目を開く。そこに剃刀があった。
ふいに思う。汚い私を綺麗にしにきた彼は…私が綺麗になったら、いなくなるのだろうか。
厭だ。そう思うのが、屹度恋情なんだ。なら、私は彼が惚れた、と云ってくれた汚いままでいたい。
剃刀。この腕を、顔を、醜く切れば。彼は…傍にいてくれますか？
伸ばした手がいきなり、掴まれる。
「流華、今ナニしようとした？」
存外本気で怒った声に驚く。
「莫迦なこと、考えんな」
泣きそうな顔で抱きしめられた。一糸纏わぬ彼の胸に包まれて、泣けてきた。
『中原幹部…捨てないでほしいです』
「はァ？」
戸惑う彼。まぁ思考の結論だけ云ったのだから当たり前か。
なんて思っていたら、いきなり口づけをされた。
「だから、惚れてるつってんだろ？何回云わす気だ、莫迦か」
『そんなはずは無いと思います』
「あるっつてっんだろ！？でなきゃ部下に手ェ出さねェよ」
『騙す気ですか？』
「…手前ェ、本当に莫迦だな？」
呆れたように云われて流石に傷ついた。
なんて考えていたら湯船に引きずりこまれた。
派手に飛沫が上がった。あ、お湯勿体ない。
でも、そんなことお構い無しに。
こつん、と額が合わさる。
「よく聞け流華。俺は確かにマフィアの人間だから、仕事で女に手ェ出したこともある。
でも手前ェみたいな慣れてねェ女で遊ぶ趣味は無ェ…俺は本気だ」
『でも…』
「もういいから、黙れ」
また、唇を彼の唇に食われる。
『信じますよ？』
酸素補給の合間に呟く。
「だから信じろ！」
風呂場に彼の声が反響する。
『じゃ、風呂上り…もう一回くらいなら付き合います』
我ながら可愛げの無い誘い文句に彼の口角が痙攣するみたいに上がった。
「手前ェ、明日非番にしてやる」
『はい？』
「俺の気が済むまで付き合え！」
ぎゃいぎゃいと、風呂場に彼の大きな怒声と私の小さな反抗が響いた。
寂しかったを、埋める【麗様リクエスト：股ドン】→←世話焼系男子と脱力系女子-前編-
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか！！！ありがとうございます！！Ｂダッシュで見に行きます！！ (2016年7月17日 10時) (
レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！！先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします！！ (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです！！ハッピー方面で！！ (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます！先刻アップさせていただきましたのでご確認ください ！！ ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます！これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております！ (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2016年6月14日 21時
