貴方と出会って花になるーさるすべりー ページ35
抗争が起きた。このヨコハマを焼くほどの抗争。
俺は、只々彼奴を巻き込みたくなかった。
だから、女の部下を一人付けて、地方に逃がしたんだ。
「百日だけここで待っててくれ。
全て片づけて必ず手前ェを迎えにくるから…だから結婚しよう」
『…ありがとう』
流華はそう云って笑った。
敵に居場所を悟られない為には連絡もできない。
それでも中也は、暦の日付を一日、また一日消すことで彼女を近くに感じていた。
愛おしい。
逢いたい。
狂おしい。
その苛立ちを全て仕事に叩きつけて、きっかり百日で抗争を収めることに成功した。
急いで彼女の元に走り出す。
矢も楯もたまらず。呼吸が苦しいのも構わず。只管彼女の笑顔だけを楽しみに。
そんな中也を待っていたのは、煙るような線香の匂いだった。
部下に平手打ちを食らって初めて、知った。彼奴は死んだ。持病が悪化してつい、昨日呆気なく。
「最期に、貴方の名前を呼んでたんですよ、流華さん！！」
そう泣きながら、部下が此方に押し付けたのは、紛れもない流華の遺書だった。
『中也さん、ごめんなさい。
百日とのお約束、守れず本当にごめんなさい。
約束を破って、貴方を悲しませた私を許してとは云いません。
けれど、どうかこれだけは嘘と思わないで。
愛しています、心から』
目の前が、霞んでそこから先はよくわからなかった。
※
気付けば陽が暮れていた。
一体、何時間蹲ったままでいたのだろう。
関節が痛い。けれど、それより心が軋む。
握ったままだった便箋からは確かに彼奴の付けていた香水の匂いがしてまた泣けてきた。
そしてふと気づく、最後の一文。
『どうか此の手紙を読んだならお墓にきてください。
貴方を信じていた証をお見せしますから』
その一文で中也は走り出した。
※
流華の墓には一夜にして立派な樹が紅い花を付けていた。滑らかな樹肌に、笑うような鈴なりの花。それは、どこか生前の彼女に似ていた。
その花の名前は≪百日紅≫花言葉は≪貴方を信じる≫
【「俺も、愛してる」
そう呟いて中也は彼女の墓石に小さく口付けた】
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか！！！ありがとうございます！！Ｂダッシュで見に行きます！！ (2016年7月17日 10時) (
レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！！先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします！！ (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです！！ハッピー方面で！！ (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます！先刻アップさせていただきましたのでご確認ください ！！ ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます！これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております！ (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2016年6月14日 21時
