ただいまとおかえり【流れ星様リクエスト:中也に甘える夢主様】 ページ32
時計の針を睨む。
かち、かち、と針はのろのろ進む。
―――中原中也はポートマフィアの五大幹部で、多忙な人だ。
一緒に暮らすと決めた時、その件では我がままは云うまいと心に決めた。
でも…
『やっぱり、寂しい』
つい漏れた独り言も、無音の部屋に吸い込まれていく。
流華は電気も付けず、ただ月を見ていた。同じこの星を、彼も見ているのだろうか、なんて考えて寂しさを紛らそうとしたが、無駄だった。
どうしたって寂しいものは、寂しい。
彼は今任務で遠方にいる。この一週間、忙しいのか電話もくれなかった。
予定によればあと10時間は帰らないだろう。
胸が、痛い。
『逢いたい…』
危険な目に遭っていないだろうか。怪我はしていないだろうか。元気にしているだろうか。
考えたら泣きそうになってくる。
膝を抱えて、そこに顔を埋める。泣いちゃ駄目。彼は忙しい人なんだ。
その時。ベランダの方で音がした。其れは、ノックの音。
慌てて見れば、見慣れた素敵帽子の下で、唇が不適に笑っている。
『中也!?』
どうして?だって此処マンションの高層階…
嗚呼そうか。私ともあろう人間が、忘れていた。
彼にとっては、壁も、天井も、平地と同じなのだ。
「よォ、ナニ泣いてんだ?」
久々の第一声がなんで其処?なんでこんな早いの?怪我は?
聞きたいことが喉に引っかかってしゃっくりみたいな情けない音しか出てこない。
「あー、仕事なら早めに片づけた。早く帰って手前ェの顔見たかったしな。
壁昇ってきたのは昇降機(エレベータ)待つより早いからだ。
それから、見ての通り元気だし、怪我もねェ」
この人、超能力も持ってるの?
「って訳で…ほら、来いよ」
ほんとに、なんで全部お見通しなんだろう。
両腕を軽く広げる彼に、色んな物が溢れて飛びついた。
『おかえり』
「ただいま…って泣くなよ」
『だって、寂しかったぁ!!』
思わず漏れた本音に彼は小さく笑って「可愛い」と云ってくれる。
嗚呼、本当に私この人が大好きだ。
――――
リクエストを頂きました。
流れ星様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年7月5日ちょこ
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時