さよなら、愛してる【リア友ネタ提供：不治の病に侵された夢主に愛を誓う中也】 ページ25
死ネタになります。
苦手な方はご注意ください
※
俺はこんなに自分を殺してやりたいと思ったことは未だ嘗てない。
「なァ、最近痩せたか？」
『うん、仕事忙しくて』
如何して流華の、あんな言葉を真に受けたのか。
「癌…？」
首領の言葉は何時までも飲み込めなかった。
流華は癌だった。胃癌だった。転移して全快は見込めない。
胃を全摘出し、抗癌剤で進行を遅らせる。もうそれくらいしか手が無い。
そして、そんな苦しい目に遭わせたとしても、残された命は、三ヶ月。
『中也、私…決められない』
どんな死地にだって勇ましく、無鉄砲に挑んだ彼女の、最初で最期の涙。
「流華、俺は…三ヶ月でも、手前ェと生きたい」
気に入りの帽子を胸に抱いて、病院の冷たいリノリウムに跪いて頭を深く下げる。
「結婚してくれ。
手前ェがどんな姿になろうが愛してやる。
万が一俺のことが分からなくなったら思い出させてやる。
頼む。一生掛けて流華を愛し続けてやるから…
手前ェの三ヶ月を、俺にくれ」
ただ一日でも彼女といたい俺のエゴだ。
それでも。流華は嬉しそうに笑って、俺の求婚を受けてくれた。
まだ病状の落ち着いているうちにと、そうそうに準備を済ませ、翌日には病室でささやかな式を挙げた。
花嫁衣裳を纏って笑う流華は美しくて。中也はただ、妻を抱きしめた。
翌日、彼女は胃の全摘手術を受けた。
これからは点滴による栄養摂取になるという。
食べていないという現実は恐ろしい速さで彼女をやせ細らせた。
そして…抗癌剤治療のせいで彼女の髪は抜けた。
それから数週間。
さらに、やせ細り、弱った躰は点滴では維持できなかったのか。
彼女は視力までも失った。
蜘蛛の巣みたいなコードの中でもう死を待つように横たわる彼女に中也は強く拳を握る。
それでも、見舞いを欠かさない。
見えないなら、聞けばいい。
「よう、旦那が見舞いに来てやったぜ？」
軽口を云えば流華は小さく笑った。屹度他人には分からない小さすぎる、変化。
それでも、生きているのだという事実が、愛おしかった。
夏の終わり。
区切られた命は静かに、尽きた。
宣告された通り、流華は逝ってしまった。
やせ細った躰は、元気だった頃の面影さえなくて。
もう、話しかけても、触れても、反応しなかった。
けれど。
どんな姿でも愛すると、誓ったから。
自分を忘れられても、愛しぬくと誓ったから。
「愛してるぜ、永遠に」
口付けて中也は、笑った。
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか！！！ありがとうございます！！Ｂダッシュで見に行きます！！ (2016年7月17日 10時) (
レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！！先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします！！ (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです！！ハッピー方面で！！ (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます！先刻アップさせていただきましたのでご確認ください ！！ ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます！これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております！ (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2016年6月14日 21時
