日常に溢れる【佐久間楓様リクエスト:甘えん坊中也】 ページ22
「嗚呼、行きたくねェ」
登校を拒否する7歳児みたいな台詞を吐いているのは中原中也。
泣く子も黙るポートマフィア屈指の体術使いの面影は―ない。
緊急招集。
いくら休日といえども、幹部ともなれば非常事態には呼び出されることがある。
中也も、御多分に漏れず、仕事着に袖を通す午前7時。
本日はただひたすら同棲中の流華とゆっくり過ごす予定だったというのに。
『頑張ってください、幹部さん!』
急遽の変更に文句一つ言わない流華。
中也の中に混在する、愛しさと寂しさ。
「…すぐ帰るから」
拗ねたみたいに言うと彼女は笑う。
『じゃぁ、夕飯用意して待ってますから』
ふ、と中也も釣られて小さく笑う。
そうか。自分が行っても彼女はここで待っていてくれるのか。
独りでいるには広すぎる、この部屋で。
泣き言を言いたいのは自分だけじゃない。
当たり前の事実がなんだか嬉しくて、出がけに彼女にとっておきの甘い口づけを贈る。
※
夕刻。
早々に仕事を切り上げて帰路につく。少々大袈裟だが、花を買って帰る。今朝の詫びに。
「ただいま」
玄関を開けると流華は笑顔で中也を迎え、花束に目を白黒させて。
一度も、責めずに全て受け入れて。
『中也、ありがとう』
花の向こうで、一番綺麗な華が咲いた。
溢れだす愛しさに窒息しそう。
「流華…」
抱きしめた。強く、強く、強く。
『もう甘えたなんだから』
また彼女が笑うから「違ェ!」と一言叫ぶ。それでもきっと…赤い耳はばれている。
『夕飯少し遅くして…一緒にいよう?』
甘い声で小さく笑う流華。屹度一生かなわない。中也は小さな敗北宣言は言葉にせず、小さく頷く。
※
着替えを済ませ、でソファに近づくと、『お茶淹れますね!』と、流華が経とうとする。中也はその手を引く。
思わずソファに座る形になった彼女の膝に頭を預けると、初心に顔を真っ赤にしている。
そんな姿が本当に愛おしくて、彼女を見上げ、華奢な左手を取る。
「手前ェと結婚したら、幸せだろうな」
無意識に零れた、あまりにも恰好悪い求婚。
意味にたどり着いた二人が湯気が出そうなほど赤くなるまで後、数瞬。
――――
リクエストを頂きました!
佐久間楓様いつも誠にありがとうございます!
甘えん坊になっていれば幸いです。
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年7月1日ちょこ
どうか、その手で―前編→←彼女の耳は・・・【赤い桜模様の猫様リクエスト:夢主様に生えたケモ耳を愛でる中也】
491人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時