踊り子―前編 ページ17
女の白い指が男の首元を這う。何とかして男が首に巻くチョーカーを外す心算のようだ。
対する男は女の好きにさせてやりながら、器用に女の襯衣(シャツ)の釦を外していく。
『中也、わかんない』
「はっ、たく。不器用も大概にしろ」
言葉はぶっきらぼう。でも男は笑っていた。普段部下には見せない、表情。
そんな時、組み敷かれた女は堪らなくこの男に惚れ直す。
※
流華と中也が出会ったのは本当に偶然みたいなものだった。
あの日は多分お互い深酒だったんだ。
偶々近くで飲んでいて、なんとなく会話が始まった。
『あれ、お兄さん一人？』
「手前ェも一人じゃねェかよ」
『じゃぁ一緒に飲もう！』
そしていつかそれは云い合いになり。
「あンだとこの野郎！！」
『生憎野郎じゃありませぇん！残念チビ！！』
「良い根性してるじゃねェか！」
遂にお互い酒瓶を手に殴り合うところまで発展。
最終的には店のマスターに土砂降りの屋外に放り出された。
あんまり冷たい雨だったから、二人ともそれで酔いが醒めたらしい。
『なんか、すいません』
「おう、俺も…悪かったな」
素面で初めて交わした会話がそれだった。
お互いびしょ濡れで、まるで野良犬みたい。
なんだか可笑しくて、濡れるに任せてひとしきり声をあげて笑い合った。
流華は場末の踊り子。
中也はポートマフィア。
本当なら、交わることの無かった人生。
それでも交わった偶然を、運命と呼んではいけないだろうか。
「詫びに、珈琲でも飲ませてやるよ」
中也がそんな方便で彼女を自宅に招いたのは屹度、別れが惜しかったから。
流華が男の家に誘われて易々付いていったのは彼の笑顔に一目惚れしたから。
中也の家で珈琲を飲みながら二人他愛もないことを話していた。
何が好きで、何が嫌いで、休日は何をしているのか。
そして、今、何がしたいか。
――その日、そのままなし崩しみたいに一線を越えた。
それから週末にこうして逢うのが二人の取り決めみたいになった。
もちろん待ち合わせは、あの酒場で。
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか！！！ありがとうございます！！Ｂダッシュで見に行きます！！ (2016年7月17日 10時) (
レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！！先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします！！ (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです！！ハッピー方面で！！ (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます！先刻アップさせていただきましたのでご確認ください ！！ ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます！これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております！ (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2016年6月14日 21時
