嫌がらせ魔と標的(ターゲット) ページ13
ツンデレ中也のリクを頂いた時の没ネタです。
※
話がある。
そう呼びだされたカフェに行くと、特徴的な焦げ茶の蓬髪が見えた。
あちらも気付いたのか、相変わらず包帯まみれの手を振ってくれた。
『太宰さん!!』
彼の向かいに掛けて注文を済ます。
『お話しって?』
「いやぁ、最近中也どうしてるかな、と思って」
彼は相変わらずの笑顔だ。元々、私は太宰さんが抜けるまで彼の部下だった。中也との恋愛に関してもよく理解してくれている。
『中也は相変わらずのツンツンですよ?この間なんかせっかく中也の家まで遊びに行ったのに書類ばっかり見て相手してくれなかったですし…』
彼は私の愚痴をニコニコしながら聞いてくれた。だが、しかし
「じゃぁ、そろそろ私と心中しない?」
話の途中で、また太宰さん悪い癖が始まった。これさえ無ければ最高の相談相手なのだが。
断ろう、と口を開きかけた私の目の前を、黒い影が横切った。
それが、太宰さんの首を締めあげて、やっと人の手だと気づく。
ということは…
恐る恐るその腕を目線で辿ると、矢張りかなりお怒りの中也がそこにいた。
「俺の女に手ェ出すなんざ、良い度胸だな。死なすぞ」
いやいや、人が大勢いるカフェで何云ってるの!とにかく止めないと!
慌てて制止しようと太宰さんを締め上げる腕を掴むと、中也は眉根に皺を寄せる。
「離せ流華」
『嫌!だって、ただ話してただけで…』
「あん!?じゃコレなんだよ!?」
見せられたのは携帯電話の電子手紙画面(メールフォーム)。
≪流華ちゃんは、黒くてちっちゃい中也より私の方が良いらしいよ?心中しちゃおうかな?≫
『…太宰さん、なんですか、これ!!?』
「中也への嫌がらせだよ?」
しれっと笑うこの人、本当に恐ろしい。気を許した私も確かに悪いけど!!
「チッ、糞が!」
ほぼ投げるように太宰さんを離した手が今度は私に向く。瞬間殺される!と思って身を竦めたが、頭に乗った手は存外優しくて、彼を見上げる。
「…心配させんな、莫迦」
手を引かれいきなり店の外に連れ出されたかと思うと、窒息しそうな口づけが降ってきた。
「…彼奴といるの見て、頭に血が昇った」
掠れた声で言われて頬が熱くなる。
『中也のヤキモチ妬き。私は中也のことだけ、好きだよ?』
笑ってみせると、今度は中也が赤くなった。
そんな私たちを遠目に観察しながら、太宰さんが別の嫌がらせ計画を練っていたなんて、私たちには知る由もない話。
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時