いつもと変わらぬ日々を愛し続けられるのならば。/歌い手大型コラボ

あったかい。 うらたぬき/蓮桜 ページ8

｢なんかさぁ｣

｢ベタなデート、してみたいよね。｣


ある日の昼下がり。
家の中。リビング。
ひょんな一言。
興味本位で発した一言だった。



｢んーと、それは…？｣


｢あ、ごめん…なんでもない｣


｢いやいやいやいや｣


｢いいから作業に集中してようらたん！｣


こんな発言をしたのには、理由があった。

同棲中の彼氏であるうらたぬきが外出中、テレビで、デートについての特集がやっているのを見た。


『たまにはベタなデートを？秋にぴったりデート特集！』

と題されたそのコーナーでは、色んなデートプランを紹介していた。



｢その中で、Aがピンとくるやつがあったの？｣


さっきまでパソコンに向かっていたはずのうらたは、もう椅子を降りて目の前にしゃがんでいる。


｢うん、ちょっとね｣


｢じゃあ、今から行こう！｣



────


彼のなすがまま、外へと飛び出した2人。


｢で…どこいくの？｣


結局、連れていくのはAになるのだが。



｢うーん…｣


"はずかしい"なんて気持ちが、心を一瞬横切る。

隣には、期待の眼差しを向けてくる可愛い顔。


(やるしかないか。)


────



自然と絡んだ指を解かぬまま、
たどり着いたその場所。



｢公園…！懐かしいなぁ｣



なんでもない、ただの公園。
すべり台と、ブランコと、ベンチと、砂場があるだけの、小さな公園。



｢ほら、ブランコ！！｣



予想以上に騒ぎ始めたうらたを横目に、
隣の空いているブランコに腰をかけた。



ｷﾞｨ､ｷﾞｨ

ブランコの軋む音がする。
こんな音すら、なんだか懐かしい。


｢ねぇ｣



｢すきだよ。A。｣



｢どうしたの急に｣



｢なんでもない｣

｢ねぇA｣



｢んー？｣





｢今日、あったかいね。｣

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