みんな カンタカメラ ページ3
2ヵ月キログラム
「みんな」のサブカメ。
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――やっぱりトミーにはバレていたようだ。
癖で前髪をぐしゃぐしゃ、とかき混ぜていることに気づいて、なんとなく毛並みを整える。
――追い出そうとしたことが。
釘を刺すように自己紹介をさせられた挙句、偶然にも自分が監督をしたMVを褒められ、外堀が完全に埋まってしまった。
それを自然にやってしまえる感じ、トミーには敵わない。トミーが持つ運の良さにも。
もたもたと話すあの顔が浮かぶ。
カ「可愛いっちゃ可愛いけどさ……」
ころんとした目がこちらを見ていたのを覚えている。玄関の照明で睫毛の影ができるくらい、睫毛が長いことも。ショートカットと白Tとデニムの、鮮やかなコントラストも。俺の腕の半分くらいの細さの腕も。
なにより、MVについて語る時の、夢見るような、幸せそうな顔を。
思い出すだけで、自分でもびっくりするくらい心臓が飛び跳ねて、嬉しくなって、落ち着きたくて天井を見上げる。頭の芯がソワソワする。
自分が作ったものが、人に伝わる。それを肌で感じた。
カ「もっとこう……色々やりてえよな」
ト「お前それ変態だよ」
カ「……」
カ「もうやめて!」
ト「イヒヒヒ!!」
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作者名:どすこい | 作成日時:2019年9月3日 11時