MV 2 トミカメラ ページ2
2ヵ月キログラム
「MV 2」のサブカメ。
・
もう久しぶりにめっちゃ笑ったわ。
カンタはカンタで照れまくって壁に貼りついてるし、AはAで生意気言ってすみませんとかずっと謝ってんの。
いや壁に貼りつく意味もわかんねーしな。しゃがむとかじゃないんかよ。
二人とも顔真っ赤にしてお互いに気遣いまくってて。人見知りと人見知りの邂逅なんて見たことある? 小さめの地獄よ。
すみませんとかいえいえどーもみたいなきんもちわりー言葉がビュンビュン飛び交うの。ここは忖度の高速道路か?もしくはオブラートの製造工場かよ?なあ?
やっぱおもしれえなあ、と目じりに溜まった涙を拭う。
あいつの冷めた目には一瞬で気づいた。4年一緒にいたら嫌でも歪みに気づく。ワンテンポにも満たないコンマ数秒だけど、あいつが何を考えているかはなんとなくわかった。
バイトで女性を雇ったら、俺らがのびのびと動画を撮れなくなる。リズムが崩れる。水溜りボンドは男だらけで馬鹿やってるから面白い。あいつはそう思ってんだろ。わからないこともない。
でも――
あの子は、不器用すぎるカンタだと、そう感じる。
自分の感覚を表出できず、世の中に溶け込むような器用さも持てなくて、漫才の相棒をネットで探しちゃうような孤立感。ごめん最後のやつはちょっといじった。
自分のことも上手く出来ないくせに、他人の感情はすくい上げてしまう不器用さ。
それに、基本的に人に興味を持たないカンタが、過剰に反応したのも気になった。
ト「俺、いい人事だったよなあ?仲良くしろよ」
ソファで編集するカンタに声をかけると、モウヤメテ、と返ってきた。
115人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どすこい | 作成日時:2019年9月3日 11時