カンタside 2 ページ10
そーっと階段を降りて、玄関で作業をしているというバイトさん(♀)を見に行く。
ト｢気になっちゃってんじゃん｣
トミーが声を抑えてくつくつと笑う。
カ｢もー声がでかい……！｣
しーっ！と人差し指を口にあてる。トミーはまだ笑っていて、このふざけた雰囲気に俺もニヤニヤと笑ってしまう。変わらない。大学1年生の時から。
おれが女の子苦手なの知ってるくせに、絶対わざとだ。いや、事情があるかもしれないけど、7割はわざとだ。
2人でバイトさんについて話し合った時も、力仕事ができるように男優先で、って言ってたのに！
カ｢ずるじゃん……｣
おれの頭に顎を乗せ、トミーも一緒にバイトさんの仕事っぷりを見学する。
ト｢むずかったんだって、YouTuber知らないやつに行きあたるの｣
あと可愛いからいいじゃん、と付け足すように言って、またトミーがヒヒヒと笑い始めた。
カ｢いや、ここからじゃ顔見えんし｣
ト｢やっぱ気になってんじゃん｣
カ｢気になってるよ！｣
ト｢いや…気になってんじゃん｣
｢気になってない｣みたいなテンションで言うじゃんお前、とトミーが腹を抱えて笑い始めた。声を出さないように、広い背中を丸めて体を揺らしている。
おれはトミーからバイトさんに視線を戻す。
さっきから、ごくごく小さい音量で歌を歌っていることに気がついていた。
ショートカットから覗く耳からは、黒いイヤホンのコードが伸びている。こちらの声は、そうそう聞こえないだろう。
トミーとふざけながら、なんとなく冷めた頭でバイトさんの細い腕を見ていた。おれ達の手ではぴちぴちの小さめの軍手が、ぶかぶかに余っている。
あんな華奢さで力仕事がつとまるわけがない。明日届くグランピングの道具を運ぶ頃には、どうせ音を上げるだろう。
力不足を理由にして、早く辞めさせるようトミーを説得すればいいんだ。
計算高い自分が顔を出す。でも足手まといになりそうなバイトを雇うほど、時間の余裕がないのは本当だった。
……女の子がいる水溜まりハウスは、なんだかちぐはぐな気がする。冗談っぽく話したが、あまりここにいて欲しくないのは本心だった。
カ｢こんなことより早く撮影しないといけないんだって｣
目にかかる前髪を払い、トミーを促すように階段を一段上がる。
ト｢お前が行こうって言ったんじゃんー！｣
トミーは遂にめんどくせー！と声を上げて笑い始めた。
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どすこい(プロフ) - みりん.さん» うわああ空気を感じて欲しくて書いてるのでほんと！ほんと！冥利に尽きまくっています！ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年9月11日 9時) (
レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
みりん.(プロフ) - 初めまして！文才が光り輝いてます憧れです…！富永さんもカンタもPさんも後輩たちも皆キャラが立ってて、脳内再生余裕でした…！！応援しています、！！ (2019年9月11日 9時) (レス) id: 76a5e800b1 (このIDを非表示/違反報告)
どすこい(プロフ) - りかさん» 深夜とかに更新して申し訳ないです、ありがとうございます！がんばりまし！！ (2019年9月8日 2時) (レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
りか(プロフ) - 更新されるとすぐ読んじゃうくらいハマってます！これからも更新頑張って下さい！ (2019年9月8日 1時) (レス) id: 06319c03d9 (このIDを非表示/違反報告)
どすこい(プロフ) - ウユさん» おアッ……ありがとうございます……コメントすごく嬉しいです、気長にお待ちください！ (2019年9月5日 22時) (レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：どすこい | 作成日時：2019年8月30日 1時
