2ヵ月キログラム 1

回想4 ページ5

それからは、いくつかの書類にサインをし、晴れて私のアルバイトが始まった。

車内で仕事場の特殊性について、富永さんが説明してくれた。

ト｢俺ら、YouTubeで動画配信してんだよね｣

登録者が400万人(かなり多いらしい)を超え、バイトもそう易々とは雇えない状況になったらしい。

最初は大学のサークルの後輩たちが協力してくれていたが、夏休みの一番忙しい時期にはやはり人手が不足するらしく、苦肉の策でこっそり求人を出したのだそうだ。

ト｢先着順で面接してたけど、早めにAさんに行き着いてよかったわ｣

YouTube知ってるやつは扉開けた最初の反応でわかるんだよな、と独りごちる富永さんがふうと息をつく。

私はへえそうなんですね、と生返事をして車の前方を見ていた。YouTuberや芸能人、ゴシップに疎い自覚はあって、もちろん｢みずたまりぼんど｣の顔どころか名前も知らなかった。

YouTubeで彼らを恒常的に見ている人が400万人もいる。

そのかたわら、知識も、興味すらない私が隣の席で生返事をしている。

なんだか皮肉に感じて、なんとなく何も言えないまま車窓の景色を見送っていた。

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おまけサブカメラ。｢回想 トミカメラ｣

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