お泊まり3日目 1 ページ36
お泊まり3日目 1
ぱちぱち、と瞬きを繰り返して、自分が起きているんだとわかった。スマホを確認すると、まだ8:30だ。
起きて伸びをしてから、……パジャマのままでいっか。キッチンへ降りる。
毎朝、インスタントのカフェオレだけが私の朝ごはんだった。
それが今は、トースターをセットしながら、片手間にごはんノートを記入している。
昨日の夜は、チーズハンバーグ。Pさんとまんずさんが作ってくれたやつ。
最高の出来、と書き足す。
あったかいカフェオレを淹れて、ふーっと冷ましながら飲む。あち。けど良いな。
朝に飲むカフェオレと、バイト終わりのカフェオレは、同じように作っても味も匂いも違う。でもどっちもすき。
どれも違うけどどれも魅力的。それってカンタさ……くん、みたいだ、と思う。こういうポエムみたいなこと言ったら、さすがに笑うかなあ。
チン、とトースターが鳴って、いい具合に焼けた食パンが顔を出した。お皿にのせ、テーブルへ運ぶ。あ、カフェオレも忘れずに。
お泊まりをして気づいたことは、私がほとんど座らずにものを食べていたことだ。
キッチンで立ったまま食べることが多かった。テーブルに着くと、目立ってしまうのだ。席の余白が。独りの私が。
ちゃんと座って、目の前のものを食べる。それをやり始めると、意外と私は食べることが好きなんだと気づいた。
カ「わ、おはようAちゃん、早いね」
足音に気づいていたが、誰かと思えばカンタくんだった。ご飯を食べる手を止める。
『カンタ、くん、おはようございます。カンタくんこそ早いです、ね……』
ちょっと思い切った私を、カンタくんは気にしてなさそうにこっちをちらっとみて、でもニヤニヤした顔を隠すように前髪をくしゃくしゃした。
私もきゅーって頭に血が上って来て、トーストに目を落とす。バターはほとんど溶けている。
カ「身体、きつくない?大丈夫?」
『大丈夫です』
食べながら答えると、今に曲つけるとしたらなに、とカンタくんが問う。
『うーんそうだな……go!go!vanillasの『Hey My Bro.』です』
えーあれ?すごいノリノリじゃん今、とカンタくんが牛乳を飲みながら笑った。
『カンタくんはなんですか』
トーストを食べ終えてお皿をシンクに持っていく。
カ「おれは、うーん…健康的な朝だなぁって感じ」
わかる?とカンタくんが笑う。うせやろ、言えってこと…?私はお皿を洗いながら、唇を噛んで目をつぶった。
『ーーあ、いしてる……』
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どすこい(プロフ) - みりん.さん» うわああ空気を感じて欲しくて書いてるのでほんと!ほんと!冥利に尽きまくっています!ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年9月11日 9時) (レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
みりん.(プロフ) - 初めまして!文才が光り輝いてます憧れです…!富永さんもカンタもPさんも後輩たちも皆キャラが立ってて、脳内再生余裕でした…!!応援しています、!! (2019年9月11日 9時) (レス) id: 76a5e800b1 (このIDを非表示/違反報告)
どすこい(プロフ) - りかさん» 深夜とかに更新して申し訳ないです、ありがとうございます!がんばりまし!! (2019年9月8日 2時) (レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
りか(プロフ) - 更新されるとすぐ読んじゃうくらいハマってます!これからも更新頑張って下さい! (2019年9月8日 1時) (レス) id: 06319c03d9 (このIDを非表示/違反報告)
どすこい(プロフ) - ウユさん» おアッ……ありがとうございます……コメントすごく嬉しいです、気長にお待ちください! (2019年9月5日 22時) (レス) id: 0b133baffd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どすこい | 作成日時:2019年8月30日 1時