第77話 雪村先輩と俺 １（日向視点） ページ42
その日の放課後。
今日は部活はない。
という事で俺は雪村先輩に聞きたい事があったので、先輩の教室へ向かって待ち伏せした。
「雪村お前今日もチビだなー！」
!?
男子生徒数名が彼を囲んで色々とチョッカイを出していた。
そこに女子生徒何名かが男子生徒達に「やめなっつってんでしょうが!!」と言い争っていた。
いやぁ、凄かった。俺が「雪村先輩に用がある」と言えば突然男子生徒の1人が俺の肩を掴んだ。
そんで「調子乗ってんじゃねぇぞ」と意味不明な事を言われた。
そしたら椿部長が「みっともない真似はやめなさい」と冷めた顔でちょっと叱ったのだ。
男子生徒達はそのまま雪村先輩を俺の方に軽く突き飛ばし、そのまま去って行った。
女子生徒達は「流石伊府さん!!」「椿ちゃん凄い!!」と部長を囲んでいた。
その隙に先輩と別の場所に移動した。
両者共に部活が休みなので、俺達は屋上…は寒いから屋上の入り口付近の階段に座ってお互いの手作り菓子を食べた。
「先輩…あの人達って一体…？」
「…友達だよ。」
あんなのが友達？デメリットしか感じなさそうな奴らが？
「やめた方が良いですよ、あんなのと付き合うの。」
「どうして？僕は弱いから、一人じゃ何も出来ない。だから…」
「でも、苦しさしか生まない関係はいつか身を滅ぼすと思います。…俺もそうでしたから。」
「そうなの？」
「俺も、昔虐められてたんですよ。しかも今まで友達付き合いしていたクラスメートに。
しかもそいつら最低な事に、俺の姉と妹にも嫌がらせしてたんです。」
「え…」
「けどそいつらは俺の双子の弟とは仲良かったんです。俺らは…1人だった弟に念願の友達が出来たから、それを壊す真似はしたくなかったんです。
でもある日弟にその事がバレて…弟はまた孤立を選んで彼らと絶交したんです。そんな裏切り者とは仲良くしたくないって。そんな付き合っていい思いをしない奴らとは関わりたくないって。
そんな真っ直ぐで自分の意思をちゃんと持っている弟だから…クラスで友達作らなくても、周りが彼を認めてくれる程…平等に物事を見れるしっかりした子になったんだと思います。
しっちゃかめっちゃか浅い関係を結んでいた俺とは違って。
こんなにも俺達似ているのに。」
前までは水樹に友達がいればいいと思っていた。
でも今は違う。
友達なんかいなくても、水樹の周りには、水樹を信頼している人達がいっぱいいるという事に。
俺みたいな危なっかしい奴とは違って。
第78話 雪村先輩と俺 ２→←第76話 鈍感男子日向君（楓視点）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tsurara | 作成日時：2017年3月5日 20時
