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第73話 悪夢と先輩 ページ38

夢を見た。



俺と水樹が、植物に囲まれた…温室だろうか。
そこで2人の男の子と遊んでいる。
その男の子達は俺達と同じ双子で、とても美しく綺麗な容姿だった。


水樹は大人しそうな男の子と談笑する。
その男の子は水樹を優しい目で見ていて、水樹は少し気まずそうな表情をするも嫌がってはなさそうだった。



『日向!!』



明るく元気な男の子が俺の手を引く。



『こっち!!』



俺よりも運動神経がよくて、無邪気に声を掛けてくれる所が好きだった…


いつも笑顔で、元気な君。
胸が温かくなる程、もっと知りたいと思う程、俺は君の事…




その時。





男の子が、ぐいっと俺の胸倉を掴んだ。



え?



無表情になった男の子の口からは血が溢れている。




『ねぇ、日向。どうして?』








「!!」



悪夢から目覚め、飛び起きた。



「……っは…」



息苦しい、熱い、心臓がうるさいくらい高鳴っている。


…今のは?




「……あれ?」




凄く怖い夢を見ていたはずなのに、印象に残るはずなのに。
何故か、何も思い出せなかった。





今日は日直なので、朝早く家を出る。


正直面倒だなぁ。



「あ、栗栖野君…!!」
「あ。」


…雪村先輩。


「おはようございます。」
「おはよう!…日直?」
「えぇ、面倒ですけど。雪村先輩は?」
「僕もだよ。」


お、偶然だなぁ。


「そういえばさ、栗栖野君って好きな人いるの?」
「どうしたんですか急に。」
「いや、何となく。もしいるなら、僕その人を目指して君を振り向かせたいからさ。」


こういう直球な所、雪村先輩の魅力だと俺は思うんだけどなぁ。


「いませんよ。好きな人なんて。だから先輩もそのままで良いんじゃないですか?」
「えっ…そのままって…僕、弱々しいのに?」
「弱々しい人が数日前に俺の事を面白可笑しくズバズバ言う訳ないでしょ。」
「そうかな?」
「そうですよ。」
「あはは、じゃあ憧れている人っている?」
「んー、憧れている人…」


一番はあの3人かな。熱血で正義感のある桜と、冷静沈着な水樹。
杏は小さいのに色んな面に立ち向かうとこ。


でも身内以外で言ったら…



「楓君かな。」
「…もしかして国分寺楓君の事?」
「はい。彼は色々と凄過ぎるっていうか…ま、一番は要領良く色々とこなせるって所かな。
俺そんなに良い方じゃないから1つの事を繰り返して身につくって感じですし。そこに憧れますね。」
「…そう。」



先輩の目が一瞬怖かったけど、気のせいだろうか。

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作者名:tsurara | 作成日時:2017年3月5日 20時

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