第64話 メイド喫茶お食事事件簿 ３ ページ29
不良の1人の目と鼻の先に物体β。
ソイツは強烈な臭いに今にも気を失いかけている。
その時…ガラッと扉が開いた。
そこにいたのは…
他の生徒達の様子を見に行ってた竹貫と西崎だった。
2人は顔を真っ青にしている。
「あ、蓮ちゃん!!」
「西崎先生!!」
「に、匂いが廊下まで伝わって来たと思ったら菫…お前はあれほど料理をするなと何度も言ってるだろうが…!!」
「…おい、どうして誰も止めなかった？」
日向が涙目で俺の腕を掴むが…止められなかったんだよ、暴走状態の名色を。
「あ、すみません!!新しい物今すぐ作りますので、もう少し待って頂けないでしょうか？」
と竹貫が不良達に言う。
解放された不良達は放心状態だった。
「え、料理って…え？竹貫ってアレ教師だよな？」
「教師が全部…？」
俺はコイツらの夢を壊す様な事を言ってやった。
「いえ、竹貫先生だけではなく…あちらの楓ちゃんと日向ちゃん、この3人がメイド喫茶の料理を担当しております。」
「うわぁ、水樹ちゃんに「ちゃん」付けで下の名前で呼ばれるのは鳥肌モノだなぁ。」
「国分寺兄、お前もさりげなく呼んでるじゃねぇか。」
次第に連中がワナワナと体を震わせる。
「ぜ、全員男…ですよね？」
「はい。料理が出来る男の娘が売りなんです、ウチは。」
「いや、そんな情報聞いた事ないから。」
楓がすかさずツッコミを入れる。
まぁ、これで連中も思い知っただろう。
メイド姿の女が全員料理出来ると思ったら大間違いなんだよ。
その結果、自分が支配したい女が味音痴の物体製造者だったなんてな。
名色は確かに可愛い。
故に彼女にしたいって男達は多いけど、もう少し名色の事を知ってからナンパしやがれ。
で、名色の事を下心なく純粋に想っている竹貫を見習え。
「ご主人様、見かけで人を選ぶと…痛い目に合いますよ？」
その後竹貫は彼らにオムライスを提供した直後、子犬並みのしゅんとした表情で「本当にすみませんでした」と頭を下げた。
連中は黙って料理を食べた後、何も言わずに出て行った。
竹貫は「美味しくなかったのかな」と心配そうにしていたが、問題はないと思う。
確実にアイツらは心の中で呟いているだろう。
「竹貫の方がよっぽど良い女だった」と。
その後、人気者3人が料理を担当しているという事が校内に広がり、いくつか品切れになる程商売は繁盛しました。
こうして、死人が出そうになった「メイド喫茶お食事事件」は幕を閉じたのであった。
第65話 見えてきた狂気 １（日向視点）→←第63話 メイド喫茶お食事事件簿 ２（水樹視点）
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作者名：tsurara | 作成日時：2017年3月5日 20時
