第59話 仲良くしたら最期の理由 1 ページ24
文化祭前日。
この日はその準備で授業はない。
必ず部活に入らなければならないというこの学校。
だからだろうか。部員達による出店が多かった。
最後の劇の練習を終えた俺達は準備の確認等をする。
「水樹君。」
寸劇の台本や時間の配分等を確認していると、楓が後ろから声をかけてきた。
ヤバい物を手にしている。
俺が視線をヤバイ物に目を向けると、楓もそれに気付いて言う。
「味見してみる?」
「…いらない。」
意地悪そうに言ってるけど、俺からしてみればそれ意地悪ってレベルじゃねぇよ。
楓が俺に作り置きの不正解用激辛クッキーを食べさせようとする。
匂いがキッツイ。
「どうして?」
「明日の被害者役が欠席になったら色々ややこしくなるだろうが。」
「大袈裟だよ。美味しいのに。」
「辛党にはな。」
俺はチーズとかヨーグルトが食いたいんだよ。後…ハンバーグ。
…お腹減った。
「……ねぇ、水樹君。」
「何?」
「僕達って、友達だよね?」
突然何を言い出すんだこの人。
「俺には友達はいねぇよ。」
俺は素っ気なく答えた。
「どうして?」
どうして、ねぇ…
「友達作って、良い事なんか一つもないから。」
殺された紅葉。
あれだけ日向と桜と杏を虐めておいて友達面してくる奴ら。
仲良くした所で待ち受けているのは無惨な未来しかない、楓と柊。
相手への情が深い分、色んな面で嫌な思いしてきた。
ぼっちの方がマシと思える程。
…もううんざり何だよ。
「…そう。」
楓はそれ以上追求しようとしない上に、何かを強制しようとはしない。
けど、それでいい。
栗栖野家の人間と慣れ合うなんて、楓にとっては良い事は何もないだろう。
だけど、現時点で楓と柊は…日向とは親交を深めている。
夏休み前のミス研男子で遊んだ時、それはとても楽しい思い出になった。
特に、柊は今までに見たことがないぐらい落ち着いた表情を見せてくれた。
日向と話す柊を見て、正直俺は2人が仲良くなって良かったと思ってしまった。
けど本当は…それは大きな問題なんだ。
「ならまた親睦深めたいし、4人で遊ぼうよ。色々と積もる話も増えてきたと思うし…
あ、でも…もちろん強制じゃないからね?気が向いたらで全然良いし…ね?」
楓は、栗栖野家に復讐するためなら何でもするのだろう。
自分が復讐したい相手と遊ぶだなんて、どこからどこまで本気なのか全然分からない。
いや、仮に空木邸の真相が楓に伝わったとしても…
第60話 仲良くしたら最期の理由 2→←第58話 自覚している狂気
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:tsurara | 作成日時:2017年3月5日 20時