第45話 恋物語の幕を引く者 １０ ページ2
「実は君達が放課後一緒に帰宅したあの日、気になってこっそり跡付けたんだ。
日向君、その日はかなりぼんやりしていたからさ、僕に全く気付かなかったみたいだね。
で、お前が話す内容は全部柊の事ばかり…日向君は適当に話を聞いていたけど、僕は確信したよ。
柊に近付くために、日向君を利用してるってね。
雛森さん…あの子はね、僕と柊の…とても大事な子何だよ」
え？と菜花は分からないと言った表情になる。
「昔のまま綺麗な日向君は、汚い人間だらけの世界の中で唯一の光なんだ。
僕がいなくなった後で日向君に何かあったら、誰が柊を守ってやるんだよ…」
「何言って…」
「思えばあの猫もそうだ。アイツのせいで日向君が死んでしまったらこの世界には薄汚い連中しかいなくなる…
鈴川もそうだ。アイツは日向君の胸倉を掴んで確実に窓の方に突き落とそうとしていたからな…
アイツが胸倉を掴もうとしたタイミングで桜が飛び出したから何ともなかったけど…」
途中から楓の表情に一気に闇がかかり、独り言を不気味に呟く様になった。
楓が目を細め、菜花を睨む。
「まぁ本音を言うと、僕は別に君が日向君か水樹君のどっちかが本当に好きなら、それなら別に良かったよ。
お前みたいな汚い奴と日向君は絶対に釣り合わないし…上手く行く訳ないしね」
「なら、どうして！」
「……この世で一番綺麗で可愛い…僕の柊に何か関わる様な事があったら話は別何だよ」
キヒッと楓が笑う。
「僕と柊は一緒にいなきゃいけない存在なんだ…折角お前は無害だと判断したから放置してあげたのに…
本当、お前の反吐が出る程の汚い心を持った雌豚だ…あのまま元友達に殺されれば良かったのに…
だから…僕の柊がお前に襲われる前に―――僕がお前を殺すよ」
「っ…!?」
「やめろ楓!!」
行為の最中に口元に縛られていたタオルが解けたのだろう。
柊が叫ぶ。
「何、柊。柊だってこの女の事好きじゃないんでしょ？日向君を利用したんだよ？」
「確かにコイツは日向を利用した!!でも、こんな事する必要はないだろ!?」
「必要だよ」
はっきりと断言する。
そして動けないでいる柊に近づき…耳元で何かを囁く。
そんな2人の隙を見て菜花は手足のタオルを解き、逃げようとする。
急いで取っ手に手を伸ばした時
視界に自分の腕が入り…絶句した。
菜花の腕には……花びらの様な、赤い痣が浮かび上がっていた。
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作者名：tsurara | 作成日時：2017年3月5日 20時
