第432話 俺が悪い ２ ページ7
「――――後の事は、朧気だけど覚えているよ。」
全てを話した後、3人はそれぞれ違う表情ではあったけど、驚愕はしていると思う。
「……竹貫先生も、菫も、椿部長も………
………桜も、俺が殺した……
元を辿れば、雪村柳先輩を殺したのも……
……刹那さんを殺したのも……
そして、紅葉が死ぬ原因を作ったのも、この事件が起きるきっかけが出来たのも……俺だったんだよ…」
それが、俺が記憶を失った全ての鍵
それは、俺が最低最悪の人間であるという事の自白
「それを認めれば認める程、あの子供の声が俺を責め続けた…
紅葉や皆が、俺を人殺しと呼んでは夢の中で制裁するんだ。
……俺は、それから逃げたいが故に、無理矢理記憶を失くす様に自己暗示した。
………逃げた結果が、これだよ。また、俺は大勢の人達に手を出してしまったんだ。」
床で息絶えている桜を見下ろす。
「……けど、思い出した所で何だろう…ね。
……思い出したって、意味ないよ。だって、もう終わった事なんだから…」
……全て、手遅れだった。
「……刹那さんは、多分梓さんを殺してなんかいなかったのかな……
もしかしたら、本当は気絶していただけなのかもしれない……
じゃなかったら、遺体発見時に浴槽で息絶えていたなんてありえないよ……」
刹那さんは、梓さんと双子の兄妹だ。
きっと、死なない様にはしていたのかもしれない。
だけど、あそこで俺がパニックにならなければ………
いや、それ以前に――――
「……俺があの時玄関で大人しく待っていれば、紅葉は死なずに済んだ……
柾さんと梓さんが、紅葉の死がきっかけで仲違いして柾さんが殺されたのも……
柾さんを殺した事に絶望した梓さんが罪悪感で死んだのも……
楓君が、家族を亡くして怖くて悲しくて辛い思いをする事になったのも………
ううん、それだけじゃない……！
こんな事件がなければ、柊君はこれ以上辛い想いなんかせずに済んで、空木邸に引き取られて幸せに暮らしていたかもしれないのに……！
お父さんが罪悪感で追い詰められて自ら命を絶つ事はなかったのに……！
家族全員、こんな悲しい想いなんかしなくて済んだのに……！
楓君が、家族を殺された恨みや憎い気持ちを……こんな悲しい気持ちを抱く事なんかなかったのに…!!
だから……柊君は、何1つ悪い事していない！誰も、悪くない！
こうなったのは……全部、全部、全部、全部……
――――全部、俺のせいなんだよ………!!!!」
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
